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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「お出かけ、つくばエクスプレス」
「つくばエクスプレス」という企業は、存在しません。
東京の秋葉原と、茨城の筑波研究学園都市を結ぶ鉄道の運営会社は、「首都圏新都市鉄道株式会社」です。
この首都圏新都市鉄道株式会社が列車を運行する、秋葉原駅とつくば駅を結ぶ路線の正式名称は「常磐新線」です。
とはいえ世間一般的に、東京と筑波研究学園都市を結ぶ鉄道は「つくばエクスプレス」、略して「TX(Tsukuba eXpress)」なので、そう認識していれば通常、問題ありません。
逆に「首都圏新都市鉄道の常磐新線でつくばに行こう」などと言われても、鉄道ファン以外には意味不明ですよね。実際、これらの固有名詞は案内上、使われないです。
ただ「首都圏新都市鉄道株式会社」「常磐新線」という名称は、つくばエクスプレス誕生の背景に関わってくるので、知っておくと、より面白いでしょう。
なお「つくばエクスプレス」は、東京都千代田区の秋葉原駅と、茨城県つくば市のつくば駅のあいだ58.3kmを結ぶ路線と、その運営会社の通称のようなものです。
その開業は、2005年(平成17年)8月24日。比較的新しい鉄道です。途中で埼玉県、千葉県も通ります。
1985年(昭和60年)7月、運輸政策審議会答申第7号「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備」が出され、「常磐新線」の整備が都市交通の対策上、喫緊の課題として位置づけられます。
これ以前から、東京と茨城方面を結ぶ国鉄(当時)常磐線の混雑緩和、首都圏における宅地供給、茨城県南、県西地域の開発を目的に、東京とつくば方面を結ぶ鉄道の建設が考えられていました。
それが先述の答申で実現へ大きく動いていき、1991年(平成3年)、「常磐新線」の建設を目的として「首都圏新都市鉄道株式会社」が設立されます。
こうした「新しい常磐線」「新しい都市鉄道」の建設という背景から、「常磐新線」「首都圏新都市鉄道」という固有名詞が存在している形ですね。
1994年(平成6年)、秋葉原で「常磐新線」の起工式が行われ、2001年(平成13年)2月には、この鉄道路線の名称が「つくばエクスプレス」とされました。
そして2005年(平成17年)8月24日に開業するわけですが、それに先駆けて同年の2月、つくばエクスプレスのキャラクターが「スピーフィ」という名に決まっているのも、時代の新しい鉄道っぽいですね。
つくばエクスプレスは、沿線の自治体が出資する第三セクター鉄道です。計画時点では、運行はJR東日本が担当する案もありました。
つくばエクスプレスは、そのように地域の開発を主目的として建設されたことから、鉄道とあわせて、沿線での街作りも各所で進められました。
都市再生機構(UR)は、沿線の埼玉県八潮市、三郷市、千葉県流山市、柏市、茨城県つくば市で大規模開発「つくばエクスプレスタウン」を展開。そのほかにも様々な大手デベロッパーが、各所で開発を行います。
そうして現代の価値観で新たに誕生した街は人気を集め、流山おおたかの森駅、柏の葉キャンパス駅、守谷駅、つくば駅など、「住みたい街ランキング」的なものでつくばエクスプレスの駅名を見ることは、すっかり普通の状況です。
つくばエクスプレスの開業にともない、千葉県流山市は「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」といったキャッチフレーズで、ファミリー層に向けたPR、施策を展開。2016年(平成28年)から2021年(令和3年)まで、人口増加率が全国トップになっています。
こうした人気の背景には、つくばエクスプレスの能力もあるでしょう。詳細は後述しますが、平日の朝、秋葉原駅までの所要時間は、区間快速で流山おおたかの森駅から約30分、守谷駅から約40分、つくば駅から約58分。
つくばエクスプレスを使えば、穏やかな郊外と、賑やかな都心のあいだを、東京圏としては長くはない通勤通学時間で行き来することができます。
首都圏新都市鉄道のつくばエクスプレスは、鉄道の構造自体も、旧来とは異なります。
まず、踏切がありません。トンネルや高架で、道路とは完全立体交差です。
レールには、新幹線と同等の1メートルあたり60kgのものを使用。レールの継ぎ目も、溶接で少なくされています。
そうして安全性や快適性が確保されたつくばエクスプレス、その最高速度は130km/hと、一般の在来線では国内トップレベルのスピードです。
秋葉原~つくば間の所要時間は、最速で45分。同区間の距離は58.3kmなので、表定速度(停車時間を含めた平均速度)は77.7km/hになります。
正直、77.7km/hという表定速度は特に速いというほどではないのですが、東京側の都市化、市街化が進んでいる地域ではどうしてもカーブが多くなり、速く走りにくいことを考えると、あなどれない数字です。
完全に郊外で、高速走行しやすい守谷~つくば間に限ってみると、所要時間は最速11分、同区間の距離は20.6km。表定速度は112.4km/hで、特急を含めて在来線国内最速レベルになります。
この「112.4km/h」は、都合のよい区間を抜き出した感もあるので参考記録として考えるにしても、「スピード」と、その速さを実現できる「安全性」「快適性」は、つくばエクスプレスの大きな特徴です。
また自動化が進んでいることも、つくばエクスプレスのポイント。
ATO(自動列車運転装置)が導入されており、運転士がボタンを押すと列車は次の駅へ向かって自動的に走り出し、ピタッと自動的に停車します。
つくばエクスプレスに乗るとき、こうした「走り」にも注目すると、より楽しいかもしれません。
「A列車で行こう9」と「A列車で行こうExp.+」には、つくばエクスプレスのTX-2000系電車が収録されているので、「新都市鉄道」とその沿線開発をイメージしたところへ走らせたら、雰囲気満点でしょう。
つくばエクスプレスの終点である茨城県つくば市は、悠仁さまが入学された筑波大学や、多くの国立研究機関が立地する研究学園都市。1985年(昭和60年)には、そうした街であることをPRする意味を含めて、国際科学技術博覧会(つくば万博)が開催されました。
そうした研究機関のなかには、見学して楽しめる施設もあります。JAXA「筑波宇宙センター」、国立科学博物館「筑波実験植物園」、国土地理院「地図と測量の科学館」などです。
それらを観光地として考えた場合、その実力は高く、かつ個性的だと思います。
より一般的な観光地で考えると、まず筑波山でしょうか。TXのつくば駅からバス、ケーブルカー、ロープウェイを使って、その頂上まで手軽に行くことが可能です。天気がよければ、関東平野を一望できます。
ほかにも、つくば万博の会場だった場所にある科学館「つくばエキスポセンター」、イヌやネコとふれあえる「つくばわんわんランド」などが、つくば市にありますね。
また、流山おおたかの森駅、柏の葉キャンパス駅などをひとつの「観光地」として考えると、面白いかもしれません。
新線開業によって21世紀に生まれた「新しい街」とはどんな姿をしているのか、実際に見て、体験してみるのはいかがでしょうか。
つくばエクスプレスは、その路線の両端で延伸計画があります。
東京側では、秋葉原駅から東京駅への延伸計画が存在。
そしてさらに、銀座や築地付近を経由して東京駅とお台場方面を結ぶ構想中の地下鉄へ、つくばエクスプレスの列車を直通させる話が出ています(都心部・臨海地域地下鉄構想)。
茨城側では、つくば駅から土浦駅への延伸計画を茨城県が推進中。
いずれも検討中で、具体的な計画は決まっていません。
ただ都心部・臨海地域地下鉄構想については、2030年までの着工、2040年開業を目指すと東京都が発表しており、つくばエクスプレスが東京駅へ延びる前に、ここだけ早く開業する可能性もあるでしょう。
また茨城県は、土浦駅までの延伸開業目標を2045年と発表しています。
つくばエクスプレスは、この先の展開にも注目です。
ちなみに、つくば駅からの延伸は、茨城空港、水戸市に至る案も考えられたことがありました。
掲載日:2025年4月11日
提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/)