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コラム

A列車jp発「初心者はNゲージがおすすめ? いまからはじめる鉄道模型の世界」

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鉄道模型をいまからはじめるにあたり、知りたいことが色々あるはず。
そこで車両の選び方からちょっとしたアドバイスまで、予備知識をお届け。

この記事をきっかけに、鉄道模型の世界へ一歩踏み込んでみましょう。

 鉄道車両が欲しい、走らせたい! そう思ったことはないだろうか。

 当然ながら実物はハードルが高すぎる。しかし、小さく縮尺された鉄道模型であれば、通勤や通学で日頃使う通勤電車、出張や旅行で遠くに行く時に乗る新幹線や特急列車、現地まで見に行った特別な車両、既に引退してしまったあの名車両など、どんな車両も全て自分の手元で楽しむことができる。

 鉄道模型をこれから始めたい、子供の頃に遊んでいてリベンジしたいけど、ブランクが心配。でも、分からないことだらけで手を出せない、値段が張り金銭的なハードルが高いのでは? とはじめるきっかけを不安が邪魔している。

 そんな貴方に、途中ブランクを挟みつつも、鉄道模型歴=ほぼ年齢の筆者が分かりやすく解説します。

鉄道模型にはどんな種類があるの?どのゲージがおすすめ?

 鉄道模型は様々な標準規格が存在する。車両を走らせるには、まず「ゲージ」を理解しよう。

 「ゲージ」は「軌間」と呼ばれる線路の幅と「スケール」と呼ばれる縮尺率の規格のことだ。線路と車両の「ゲージ」が一致していれば、国内外を問わず同じレイアウト上で走らせられる。

 数ある規格の中でも、日本の車両を楽しむのであれば「Nゲージ」をおススメしたい。Nゲージは手に持ちやすい程よいサイズ感と存在感、マンションなどの一室でも楽しめる比較的省スペースな設計などで、日本の住宅事情に合っている。 軌間が9ミリ、スケールが1/150~1/160で作られている。NはNineの頭文字で、日本で普及し始めた頃は9ミリゲージとも呼ばれていた。

 車両はプラスチック製が主流で、真鍮製や木製で作られたものも存在する。長さは、20メートル級の標準的な車両だと13センチほどで、手のひらに収まる。遊びやすい大きさである分、需要も多く、車両のラインナップも充実している。人気の高い車両を出すメーカーだけで5社ほど存在し、毎月続々と各メーカーから全国各地の車両が発売される。

Nゲージ、Nintendo Switchパッケージ比較

 その他、博物館などで展示されている「16番ゲージ(HOスケール)」屋外でも走らせる「Gゲージ」と呼ばれる大きな規格や、アタッシュケースの中でレイアウトを作れる「Zゲージ」と呼ばれるとても小さな規格など、種類は様々だ。

 まずはお気に入りの車両を選んで飾るだけでも良い。 鉄道模型の世界を始めてみよう。

車両を走らせるには?

 実物の鉄道と同じように車両を載せる「線路」そして車両を動かす「パワーパック」が必要になる。

 線路は初心者の方には道床付きをおススメしたい。バラストやコンクリートなどの道床と、車両を走らせる線路部分がセットになって、線路を繋ぐだけですぐに完成するものだ。床やテーブルの上での組み立ても簡単にできてお手軽に楽しめるし、車両の走行も安定する。

道床付き線路

 また電池が内蔵されているおもちゃとは違って、鉄道模型には内蔵されていない。車両を動かすために線路へ電力を供給する必要がある。そこで「パワーパック」と呼ばれるコントローラーが必要だ。 家庭用電源の交流100Vを最大12Vの直流に変換した電気を線路に流し、車輪を通して車両に伝えることで、車両自体に電池がなくても走れるのだ。

 コントローラーを操作して電圧を調整することで実物同様の速度調整、更には極性(プラスマイナス)の切り替えで進行方向の切り替えも可能だ。電動化したポイントの切り替えなどもパワーパックが必要となり、線路と合わせて鉄道模型を走らせるためには必須のアイテムだ。

パワーパック一式

Nゲージ初心者におすすめの初期費用はどれくらい?

 一周できる線路と走行に必要なパワーパック、そして車両の3点で鉄道模型を始められる。以上の3点が揃ったセットは、KATOはスターターセット、TOMIXはベーシックセットとして発売されている。入門用として車両や線路の価格が割引されており、1万5000円から2万8000円程度の価格設定となっている。路面電車や新幹線を複線で走らせられる特殊なセットを除いて、3万円が目安と考えておくのがおススメだ。個別に購入する場合は割引がないため、セットで購入するのと比べて割高になる。

 セットに好きな車両が無い場合は、1万円ほどの線路とパワーパックの組み合わせもあるため、活用しよう。 資金と相談しながらお気に入りの車両と設備を選んで鉄道模型の世界を始めよう。

Nゲージの価格が高いのは何故?

 鉄道模型は機械的、そして造形的、2つの意味で精密だ。そのため他の模型ジャンルと比べても高価な価格設定となっている。

 鉄道模型の車両は実物よりもスケールダウンされた車両に小さなモーターを搭載し、シャフトやギアを経由して車輪にその動きを伝えている。小さいながらも実物さながらの動きを実現するために、沢山の精密機器が合わさった技術の結晶だ。それでいて品質は安定していて、高い技術力を考えるとむしろ割安に感じる。車両の造形は実物を忠実にスケールダウンし、近年では特定の車両ごとの作り分けも行われるようになった。作り分けが細かくなった分、価格設定に反映されて年々上昇傾向にある。

 もちろん、その分出来はかつてよりも上がっていて満足度は高い。 実際に手に取ってもらえば、その価格設定に納得できるはずだ。

KATOとTOMIX、それぞれの特徴は?

 Nゲージを発売する鉄道模型メーカーは日本国内に限っても数多く存在する。その中でも「KATO」と「TOMIX」の2社は最大手と言える。特徴を一言で言うと、KATOは模型としてのデフォルメ重視、TOMIXは実車に忠実だ。

KATOとTOMIXのパッケージ

 KATOは国内で初めてNゲージを発売した関水金属のブランド名で、創業者加藤祐治の名字に由来する。元々は鉄道模型の型押し鍛造部品を作る町工場で、1965年に国産初のNゲージモデルを発売した。 企画から設計、生産までを自社で一貫して行い、日本国内の工場で生産が行われている。

 車両の造形は実車に忠実というよりも、模型における映えを狙った作り方が特徴的となっている。アンテナなどの細かいパーツは取り付け済み、車両の番号なども印刷済みで、買ったそのままでリアルな車両を楽しめる。

KATO車両

 TOMIXはトミーテックから発売される鉄道模型のブランド名で、トミーテックは玩具メーカーでお馴染みのタカラトミーグループのホビーメーカーだ。1969年頃から合併前のトミーで海外製の鉄道模型を輸入し、国内向けに塗装を塗り替えた車両などを販売していた。 その後、1976年にトミーの鉄道模型専用ブランドとしてTOMIXが発足、国産の鉄道模型メーカーへ本格的な刷新が図られた。

 車両の造形はデフォルメが少なく、実車の印象を正確に落とし込んだ製品が多い。細かいパーツや、車両の番号はユーザーが取り付ける必要が多く、走らせるまで手間は増えるものの自由度が高いと言える。

TOMIX車両

 この2社の製品は多くの模型店で取り扱われていて、アフターサービスも充実している。初心者にはおススメのメーカーだ。

KATOとTOMIXの線路を繋げることはできるの?

 両社でパーツや規格が異なり、それぞれの線路を繋ぐことは想定されていない。

 KATOからはユニットラック、TOMIXはファイントラックと呼ばれる線路が発売されている。どちらも道床付き線路で、バラストやコンクリートなどの道床と、車両を走らせる線路部分がセットになっている。同じ道床付きの線路でも、線路の間隔やレール同士を繋ぐジョイナーと呼ばれるパーツの形状は両社で異なる。そのため線路やジョイナーの加工など、ユーザー各自で創意工夫を行わないと両社の線路は混用できない。初めての方は同じメーカー同士の線路で揃えるのがおススメだ。

 では、どちらの線路がおススメかというと、車両と同様で一長一短だ。車両を分岐させるポイントや、電力を供給し車両を動かすためのパワーパックなどもコネクターの規格が異なる。線路と同じメーカーで揃えれば、初心者でも戸惑いなく組み立て可能だ。

 KATOのユニトラックは線路のラインナップがTOMIXと比べると少なく感じる。しかし、ポイントの動作が安定していて、車両の動きもスムーズだ。

 TOMIXのファイントラックはポイントの動作がKATOよりも劣る。しかし、線路の種類はとても豊富で、ファイントラックのバリエーションを駆使して実際に近い風景を再現できる。

  両社のメリット・デメリットを踏まえながら、走らせたい車両を加味して線路を選ぼう。

どんな車両ラインナップがあるの?

 国鉄時代から、JR、私鉄まで、様々な車両が発売されており、購入する車両はもちろん自分の好みで構わない。好きな車両から鉄道模型の世界を始めよう。

筆者車両コレクション

 2000年代に入ってからは様々な車種が製品化されるようになった。国鉄時代から現代のJRまで、様々な車種が発売されており特定線区に拘ったシリーズ物で発売されるケースもある。

 国鉄やJRの車両は新幹線や特急列車、山手線などの都心部を走る路線を中心に知名度が高い。人気車両を中心に入手も容易で、お店に常においてあるような定番商品も多い。

 もちろん、私鉄の車両も充実している。特定の鉄道会社でも複数車種が製品化されることも当たり前となって、路線や特定の地域に拘ったコレクションということも実現可能だ。小田急ロマンスカーや近鉄特急などの人気特急列車を除いて、私鉄の車両は生産数が少なめで入手困難になるケースが多い。まだ発売になっていない製品を購入する場合は店舗での予約購入をおススメしたい。

 視点を海外に向けても良い。海外の列車も日本から購入できる。異国の列車を走らせて、乗ったことのない憧れの列車に思いをはせる、旅行した思い出を思い出す、そんな楽しみ方も鉄道模型の醍醐味だ。

 模型であれば実現不可能なことも再現できる。絶対に出会えない日本の鉄道車両と並べて、自分だけの夢の世界を作り上げるのも面白い。

 前述の通りゲージごとの規格に則っていればどんな車両でも走らせられる。

 KATOとTOMIXからは新幹線や特急列車、大都市圏の通勤電車を中心にメジャーな車両が入門用として、車両と線路、パワーパックが組み合わさった形でも販売されている。欲しい車両がセットで出ていれば、購入するだけですぐに鉄道模型の世界を楽しむことができる。

 だが、注意点として、車両によっては別メーカーの線路と相性が悪いケースも存在する。 その場合は、車両もしくは線路に対策を施すか同じメーカーの線路と車両で揃えて走行に支障が無いようにしよう。

慣れてきたらひと手間のグレードアップ

 最後に鉄道模型をより楽しむために、筆者よりグレードアップのアドバイス。

 精密に作られている鉄道模型の車両は、そのままコレクションするだけでもちろん楽しめる。しかし、せっかくなら車両に工作を施してグレードアップをしてみよう。

 最初から難しいことをする必要はない。製品に付属している行き先表示シールや車両の番号を車両に貼るだけで、立派な「自分だけのコレクション」になる。通勤で当たることが多い車両、撮影で狙っているお気に入りの車両など、模型に実車の思い出を重ね合わせて楽しめるのだ。 更に手馴れてきたら、塗装にチャレンジして欲しい。

 完成品の車輌であっても、プラスチックそのままで、実物とイメージが異なるパーツは多々存在する。車両に取り付けられているパーツを一旦外して塗装を施す。それだけでも大きくイメージは変わり、より実車に近いリアルな雰囲気が増す。

 鉄道模型の工作と聞くと敷居が高く感じるけれど、手軽に楽しめる加工もある。是非とも自分だけのコレクション制作にチャレンジして、鉄道模型の奥深い世界へと足を踏み入れて欲しい。

塗装済空調機パーツ

掲載日:2024年8月23日

この記事の筆者

田都くん

1995年生まれ
ハンドルネームは「東急田園都市線」と奈良県公式マスコットキャラクターの「せんとくん」の掛け合わせ。雑誌鉄道ファンの裏表紙に出ていた「A列車で行こう7」の広告を見て、A列車シリーズの存在を知る。「A列車で行こうひろがる観光ライン」にて公式ガイドブックの執筆を担当。一番好きなA列車シリーズは「A列車で行こう6」系統の作品。

提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/

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