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コラム

A列車jp発「祝15周年『A列車で行こう9』に詰め込まれた15年の記憶」

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2010年に発売し15周年を迎えた、
都市開発鉄道シミュレーションゲーム「A列車で行こう9」。
その長きにわたる変遷や、発売当時の主な展開、記憶を振り返り、
15年間の時の流れを感じてみましょう。

不意に訪れた「9」の衝撃

「A列車で行こう9」(以下、A9)の存在が公になったのは、師走の足音近づく2009年11月27日のこと。モノクロの摩天楼に「世界、一新。」のキャッチコピーを携えたティザーサイトが突如公開されました。サイトに書かれているのは12月10日に記者発表会が行われるということのみ。ゲーム内容に関する情報は一切ありません。

記者発表会はプレス関係者だけではなく、一般の方も抽選で150名を招待するとのこと。とはいえ一応、応募資格がありました。「A列車で行こう9を応援してくれる方」と。なんとも確認を取るのが難しい資格でしたが、平日にわざわざ足を運んでくれるということは、立派な有資格者に違いないということです。

余談ですが、このモノクロの摩天楼はパッケージ画像の最終候補の1枚でした。もしかしたらこっちがパッケージになっていた……、ということはないか。

日本最大級のスクリーンに映し出された「世界、一新。」

2009年12月10日、記者発表会の会場となったのは、東京都江東区豊洲にある「ユナイテッドシネマ豊洲」でした。ここの映画館の10番スクリーンは、日本最大級となる幅22.6メートルの超大型スクリーン。そこへゲーム映像を映し、記者や招待客の方たちみんなに、映画を観るかの如く大迫力でA9を楽しんでもらう、というのがコンセプト。やがて会が始まり、大型スクリーンにオープニング映像が流れると、その迫力に客席からは歓声が上がり、館内は新しいA列車の世界に包まれます。

実際にプレイしている映像や、仕様書や設定資料を基にアートディンク代表からゲームの説明が行われ、記者発表会は大盛況のうちに幕を閉じます。こうしてA9は、大勢の前でとても華々しいデビューを飾りました。

お越しいただいたプレス関係者、招待客たちへのお土産に、「A列車で行こう9 特製USBメモリ(1GB)」を用意しました。USBメモリの中にはA9の画像や記者発表会で公開されたオープニングムービーなど、いわゆるプレスキットが保存されていました。いまでは大容量でも安く購入できるUSBメモリも、当時はたった1GBでもけっこういいお値段がしました。まだ持っている方はいますかね。

このUSBメモリですが、単に「プレスキット配付にちょうどいい媒体だから」と選ばれたわけではありませんでした。当初A9には、「A9ドングル構想」というものがあり、ゲームデータをDVDメディアでなく、USBメモリ内に収録して販売する計画がありました。ドングルとはパソコンに接続すると、コピー防止やソフトウェア起動時の照合で不正防止が行える装置のこと。毎回A9起動時にUSBを接続して遊んでもらうのが不正コピー防止の面でもいいのではないか、というわけです。それは素晴らしい考えだと誰もが思いましたが、とんでもなく製造コストがかかるため、あえなく諦めることに。そんな話もあってかUSBメモリになったと記憶しています。

復活のパソコンゲーム誌

宣伝で特に印象に残っているのは、パーソナルコンピューター情報誌『ログイン』の刊行です。1980年代から90年代にかけて数多くあったパソコンゲーム雑誌は、2010年当時には殆どが休刊しており、『ログイン』も例外ではありませんでした。「過去にA列車で行こうシリーズをたくさん紹介してくれていたログインで、A9も紹介してほしかった」という思いを叶えようとしたのです。当時は『R25』などのフリーマガジンが人気の時代。『ログイン』をA9特別号のフリーマガジンとして復活できないか、と関係者の方にお願いしに行きました。そして願いは通じ、A9が掲載された『ログイン』が刊行しました。

その反響は大きく、瞬く間に設置店舗から消え、販売店や各方面から多くの問い合わせをいただきました。Yahoo!ニュースや、雑誌『宣伝会議』で紹介されるなど、大成功の宣伝施策でした。マーケティングの仕事をしている身にとって、企業の宣伝活動やマーケティングを紹介する『宣伝会議』で紹介されることは、とても名誉な出来事でした。が、それもログインの力があってこそ。既に休刊となっていましたが、そのバリューの大きさには感服いたしました。ちなみにその『宣伝会議』のインタビューでは、「店頭で認知を得ることが重要。」と答えていました。15年前はパッケージ販売が重要でしたから、時代を感じます。

迎えた記念すべき「A列車で行こう9」発売日

そして迎えた2010年2月11日。ついに発売。この時にはまさか15周年までタイトルが続くとは夢にも思いませんでした。ただ、はじめは1月29日が発売予定日で、実は2週間ほど発売が延期していたんですよね。もっというと、開発当初は2009年12月の発売を目指していました。そう考えると、2週間くらいの延期はもはや誤差の範囲です(ゲーム開発を予定通りに進めるって難しいですね)。それでも暖かく待ち続けてくれたファンのみなさまには感謝の気持ちでいっぱいです。ところが発売日には売り切れてしまい、購入できなかった方たちにはさらにお待ちいただくことに。たいへん申し訳ない気持ちでした。

なぜなら初回生産分には、フリーマガジンとはまた違う「ログイン A列車で行こう9 発売記念 特別号」の冊子が特典として同梱されていたからです。もうA9はログインにお世話になりっぱなしですね。またこの冊子が秀逸でして、過去の『ログイン』本誌で紹介された記事でシリーズを振り返る、「A列車で行こうシリーズの歩み」や、かつての編集者によるお楽しみページ、そしてこれぞ『ログイン』と思わせてくれた「墜落日誌」の特別編(しかもカラー!)が収められた、ファン垂涎の一冊でした。元ログインスタッフたち、さすがでした!

拡張ソフトの展開はじまる

発売後は順調な展開が続き、8ヶ月後にはA9初の拡張ソフト「A列車で行こう9 建物キット」が発売されます。それにより、いままでにない日本の風景を田舎も都会もつくれるようになりました。この拡張が好評を得ると、翌2011年末には主に工業施設などを充実させる「A列車で行こう9 建物キット2nd」も発売。さらに街並みに変化をもたらしました。

もうひとつ、重要な拡張ソフトが。2015年に「A列車で行こう9 JR東海パック」が発売されました。過去のA列車で行こうシリーズには、JR東海車両は収録されておりませんでした。この製品によって、のぞみ300系やN700系といった新幹線、その上JR東海の在来線までもが列車ラインナップに加わったんです。ついにJR全7社の収録が達成された、記念すべき拡張ソフトでした。遠くに富士山が見えるようになったのもこの作品から。まさに国産シミュレーションゲームです。

新しく魅力的だった3Dプログラム

A9を発売した頃、世はまさに3Dブームでした。新型テレビのウリはもっぱら「3D対応」。ゲームの世界でもニンテンドー3DSが発売されるなど、3Dの波が押し寄せました。当然A9も「A列車で行こう9  3Dプログラム」を発表(https://www.a-train9.jp/3D.html)。A9を3D表示させるプログラムで、新しい魅力を提供しました。3D表示との相性も良く、立体的な奥行きのある街並みが楽しめましたが、ブームが去ってしまえば話題にも上がらなくなりました。いまにして思うと、あの3Dブームとはいったいなんだったのでしょうか。

開拓、営業努力は続く

ところで、A9のソフトにNゲージが同梱されている「A列車で行こう9 特別限定セット」というパッケージ商品があったのをご存じでしょうか。2005年に「A列車で行こう7」のADトレインとして実際に走行した209系京浜東北線の先頭車両を、株式会社トミーテック協力のもと再現していただいた、特製Nゲージ1両が同梱された商品です。A9発売1周年を記念した商品で、主に鉄道模型を趣味に持つ方への訴求を狙って企画したもの。プラモデルにガムを付けて、お菓子売り場などに販売チャネルを増やす感覚に近いですね。わたしは企画した本人なので、この商品の悲しい販売本数を知っていますし、もうこの手のマーケティング施策を企画することはないでしょう。当時、1人でも多くの人にA9を触ってもらいたくて、必死に考えた施策でした。でも実際は、このあたりまでの展開が限界だったかなと思います。

さらなる進化を目指したバージョンアップ

「建物キット」、「3Dプログラム」、「Nゲーj……は置いておいて、A9は新しい魅力を提供し続けてきました。そして、2012年末には拡張キットの枠を超え、ついにバージョンアップがスタート。「A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル(以下A9V2)」へと進化していくことになります。

A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル

A9の発売から約2年後に発表されたA9V2の特徴は、建物の比率をリアルスケールにする「スケール1:1」モードの搭載や、鉄道施設の充実です。秋葉原駅のような立体交差駅が収録されたことにより、無理やり駅を重ねて立体交差にする必要がなくなりました。架線柱も収録され、リアリティが大幅に増しました。

リアリティといえば、A9V2には建物キット2ndに収録されていた鉄道車庫が改めて収録されていました。実は建物キットに収録された鉄道車庫は見た目のみで、実際に列車を格納できません。そのため酷評されたことを反省し、リベンジとばかりにA9V2では列車を格納できるリアリティある鉄道車庫を収録しました。

メインビジュアルは、A9では昼間だったのがA9V2で夜になります。これは、大きく進化したことを表現するためだったと思います。

A列車で行こう9 Version3.0 プレミアム

A9V2のバージョンアップからおよそ1年半後の2014年には「A列車で行こう9 Version3.0 プレミアム(以下、A9V3)」が発表されました。パンタグラフを列車に装着できるようになり、要望にまた一つ応えることができました。橋梁や駅、デジタルサイネージが光り輝くビルなど、新たな建設物も追加されたことで、A9の街並みも現実の世界同様、進化を遂げます。また新規追加車両の中には、JR九州のD&Sトレイン「キハ185系A列車で行こう」が収録され、ついに「A列車で行こう」という名のもとにJR九州と繋がった記念すべきバージョンアップでした。遊ばれる方にはあまり関係のない話ですが、この時のA9V3からパブリッシャー(販売元)が株式会社アートディンクに変わったことも、進化の速度に影響を与えました。

ちなみにA9V3のメインビジュアルは、過去に昼、夜、と来たので、では次は夕方。という理由で選ばれましたが、今見ると夕日というより朝日に見えてしまいます。

A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ

2015年、A9V3から僅か1年後という驚異のハイペースで「A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ(以下、A9V4)」へバージョンアップされました。A9V4は、もっとも多くの方たちがバージョンアップをしてくれましたが、やはり1マップあたりの車両保有数の上限が、100編成から倍の200編成へと拡張されたことが大きかったのではないでしょうか。列車の増発にともなう超過密ダイヤによって、列車がひしめきあうメガシティを可能にしました。さらにA列車で行こう史上初となる、自分自身で列車を運転する「運転モード」の実装や、街の道路標識が設置可能になるなど、とても幅広いバージョンアップが施されたのも要因かと思います。これもA9の4番目と考えると、「A列車で行こう」と「4」は相性がいいのかなと考えてしまいます。「A列車で行こう4」は、シリーズ歴代最多の販売本数を記録した代表作。A4でシリーズを知ったという方も多いのではないでしょうか。

そしてA9V4のメインビジュアルは、とあるポルトガルの終着駅。もしかしたらこれが最後のバージョンアップになるかもしれない。そう思えるバージョンアップを実施したため、これまでのA9のビジュアルイメージとは全然違うものを選びました。そしてパッケージは、銀色の紙の上に印刷を行う特殊印刷で作りました。あまり気付かれていない気もしますが、こういう気合って伝わっているのでしょうか。

A列車で行こう9 Version5.0 ファイナル

進化はまだ終わらなかった。終着駅のはずだった駅は始発駅となり、再び走り出します。

A9V4から約3年が経過した2018年8月に「A列車で行こう9 Version5.0 ファイナルエディション」にバージョンアップされました。数年ぶりのバージョンアップでしたが、この特徴といえば、「列車の機回し」、「転車台」、「列車の連結」により、よりこだわった列車運行が楽しめる点ではないでしょうか。以前より開発陣が「難しい」と話していた機能ですが、これもまた多く寄せられていた要望のひとつ。まさに「夢の機能」が実現できました。

そしてA9V5のメインビジュアルは、鉄道発祥の地であるイギリスです。A9V4のように凝ったパッケージではありませんが、箔押し風の金の特殊印刷で「定番」の風格を表しています。ダウンロード販売へと移りゆく時代ですが、いまだパッケージにはこだわりを持っています。

その後もA9V5には車両キットが展開され、収録される車両が増えます。気が付けば協力鉄道会社全42社、総収録車両数325車両にまで達しました。併せて1マップあたりの車両保有数の上限が、300編成まで拡張。シナリオは約60個、建物とアイテムを合わせると約500種類と、ボリューム、やりこみ要素は満点です。

さすがにこれ以上のバージョンアップは望めないかもしれないので、「ファイナルエディション」と題したのは、いまのところ正しかったようです。当初のA9と現在のA9V5を比べると、もはや別ゲームと言っていいほどの違いがあり、15年間の重みを感じます。キャッチコピーは「鉄道ゲームの定番。都市開発ゲームの定番。」。より多くの方にこれからも愛される存在であってほしいと願うばかりです。

A列車で行こう9 トレインコンストラクション

バージョンアップではないですが、自分で車両をカスタマイズして、オリジナル車両を作れる「A列車で行こう9 トレインコンストラクション(以下、A9TC)」が、昨年2024年末に発表されました。トレインコンストラクションは、「A列車で行こう7」の時代にも発売されましたが、今回のA9TCはそれとは比較にならないくらい、自由にカスタマイズできるのが特徴です。A9V5の最新のバージョンアップから実に6年が経過していたため、プレイしてもらえるかは気になりました。しかし蓋を開けてみると、現在Steamのワークショップにはオリジナル車両や再現車両、アイテムなどが大量に登録されており、A9が定番として遊ばれていることを実感しました。いつもありがとうございます。

A列車で行こうExp.(エクスプレス)シリーズ

パソコンで展開してきたA9ですが、プレイステーション4にも「A列車で行こうExp.(以下、AExp)」として移植されています。「Exp.」とはエクスプレス、急行を表しますが、JR東海の車両群がラインナップに加わり、全国の新幹線がコンプリートしたことによって誕生したのがAExp。移植作ではありますが、時にはパソコン版にはない車両が先行で追加されるなど、A9シリーズを牽引する存在でした。

歴代公式ガイドブック

最後に忘れてはいけないのが、公式ガイドブックの存在です。「公式ガイドブック」を皮切りに、「エキスパートガイド」、「プロフェッショナルガイド」、「マスターズガイド」と計4冊を発刊していただきました。以前、電車の車内でボロボロになった公式ガイドブックを、受験生が参考書を読むかのごとく、熱心に読んでいる人を見かけたことがあります。おそらく「このガイドブックの存在のおかげでA9を始められた」という方が大勢いるのではないでしょうか。遊ぶきっかけとなるガイドブックは、A9にとってとても大きな存在でした。執筆された杉山氏をはじめ、編集に携わっていただいた関係者の方々に感謝いたします。

「A列車で行こう9」15周年を迎えて

A9の15年を駆け足で振り返ってきました。この15年間いくつもの積み重ねによって進化を遂げることができたのも、ひとえにいつも応援してくださるみなさまのおかげでございます。心から感謝申し上げます。

この先まだ進化を続けるのかは不明ですが、いまはこの15年間が詰まった最新バージョン「A列車で行こう9 Version5.0 ファイナルエディション」でお楽しみいただけたら幸いです。

A列車で行こう9に15年間お付き合いいただき、ありがとうございます。これからも、「A列車で行こう9」ならびにアートディンクをよろしくお願い申し上げます。

掲載日:2025年2月14日

この記事の筆者

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提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/

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