プライバシーポリシーサイトポリシー
SPECIAL

特別企画

ギャラリーやイベントでA列車をとことん楽しみましょう

A列車jp発「お出かけ、江ノ島電鉄」

都市開発鉄道経営シミュレーション「A列車で行こう」に制作協力いただいている
各鉄道会社をフィーチャーして、歴史や沿線の魅力について触れていく応援企画。
今回ご紹介するのは「江ノ島電鉄」。

さあ列車に乗ってお出かけしましょう。

そもそも「江ノ電」って?

 「江ノ電(えのでん)」は、江ノ島電鉄株式会社、その路線の略称です。

 江ノ電の路線は、藤沢駅(神奈川県藤沢市)と鎌倉駅(神奈川県鎌倉市)を結ぶ江ノ島電鉄線、1路線のみ。路線の長さは10.0kmで、15の駅、1つの信号場があります。

 その名の通り、江ノ電は湘南の海に浮かぶ江の島の近くを走り、沿線に風光明媚な場所、歴史的な名所、印象的な車窓が多いことなどから、沿線住民の日常路線でありつつ、人気の高い観光路線でもあります。ドラマやマンガ、アニメに登場することも多く、いわゆる「聖地巡礼」でも賑わう路線です。

 江ノ電の路線は1902年(明治35年)、日本で6番目の電気鉄道として、まず藤沢駅と江ノ島駅(神奈川県藤沢市)のあいだが開業したことに始まります。なお当時、江ノ島駅は片瀬駅という名前でした。

 その後、江ノ電は1938年(昭和13年)、戦時統合によって現在の東急傘下に入り、五島慶太氏が率いる「大東急」の一員になりましたが、1947年(昭和22年)に離脱。1953年(昭和28年)、同じくかつて「大東急」の一員だった小田急電鉄のグループになり、現在へ至ります(小田急電鉄の100%子会社)。

 ちなみに江ノ電、小田急電鉄のほか、京王電鉄、京急電鉄、相模鉄道なども当時、「大東急」の一員でした。

江ノ電の見どころ 鉄道編

 江ノ電の鉄道的な見どころとして、まず「路面電車でもあるところ」が挙げられます。

 江ノ島駅と腰越駅(神奈川県鎌倉市)のあいだで、江ノ電の電車は道路の中央部分を走行。路面電車らしからぬ最大4両編成の電車が路面電車のように走っている姿は、なかなかのインパクト。ぜひ電車の外からも見てほしい姿です。

 なお、厳密にこれが「路面電車」かどうかを考えると複雑な話になるのですが、一般的には路面電車でよいと思いますので、気になる方は深掘りしてみてください。

江ノ島駅~腰越駅間

 江ノ電の電車は、すべて2両で1組になった「連接車」なことも見どころです。

 「連接車」とは、車輪がついた台車を、車体と車体のあいだに設置する構造の車両。日本の一般的な電車は、車体の前と後ろにひとつずつ台車が設けられており、2両編成なら台車は4つです。しかし連接車の場合、2両編成で台車が3つ、といった形になります。

  連接車は急カーブに強いのが長所のひとつで、先述した「路面電車」の区間や、後述する民家の隙間を縫うように走る区間などで、その効果を発揮。日本ではこの連接車、一般的な電車では少ないですが、路面電車では多く採用されているしくみです。

民家の隙間を走る

 江ノ電は、電車のバリエーションもポイント。レトロ調の10形電車、オールステンレスでVVVF制御と現代的な500形、1956年(昭和31年)から導入され床が板張りと本当にレトロな300形など6車種が走っており、どの電車が来るかも、江ノ電に乗る面白さでしょう。

 なお、Windows「A列車で行こう9 Version5.0 コンプリートパックDX」、PlayStation4「A列車で行こうExp.+DX」、Nintendo Switch「A列車で行こう ひろがる観光ライン」には、このレトロな江ノ電300形電車を収録。昭和感満点の車両を「自分の街」に走らせて、楽しむことができます。

A列車で行こう9/A列車で行こうExp.+収録の江ノ電300形

江ノ電の見どころ 景色編

 江ノ電の景色(車窓)的な見どころとして挙げられるのは、やはりまず「湘南の海」でしょう。腰越駅と稲村ヶ崎駅(神奈川県鎌倉市)のあいだで、鎌倉駅に向かって右側に、相模湾が断続的に展開。江の島や三浦半島も、海の向こうに姿を見せてくれます。

 また、腰越駅や稲村ヶ崎駅、そのあいだの鎌倉高校前駅(神奈川県鎌倉市)、七里ヶ浜駅(同)で途中下車して砂浜に出れば、湘南の海と富士山という雄大な風景を楽しむことも、天候などによりますが、可能です。

 なお鎌倉高校前駅は、ホームから海が見渡せる駅として有名なほか、近くにある海を背景に江ノ電が行く鎌倉高校前1号踏切が、アニメ『SLAM DUNK』の「聖地」になっています。

鎌倉高校前駅

 この腰越~稲村ヶ崎間は、砂浜にサーファーがいたり、波打ち際で犬を散歩させる人がいたり、絵に描いたような「湘南の海」を満喫できる区間。車窓からでもそれを楽しめますが、できれば途中下車をオススメしたいです。

 海から離れて、鎌倉の市街地が近づいてくる稲村ヶ崎駅と由比ヶ浜駅(神奈川県鎌倉市)のあいだも、また違った車窓の魅力があります。

 民家の軒先をかすめるように走ったり、トンネルをくぐって山越えの様相を呈したり、線路を通らないと行けないような建物があったり……。狭いところをクネクネと、小柄な電車が走っていきます。

 山と海に囲まれた天然の要害にあり、幕府も開かれた鎌倉という土地。その空気を、江ノ電は味わわせてくれるでしょう。

 そして先述した「路面電車区間」も、景色的な見どころといえます。普通の電車が突然、街の中に飛び出してしまう具合で、不思議な感覚です。

 江ノ電は、藤沢~鎌倉間の全線を乗っても、所要時間は34分。にもかかわらず、いろいろな表情を楽しませてくれるのが大きな魅力になっています。

注目の駅「鎌倉駅」

 江ノ電の終点で、JR横須賀線(湘南新宿ライン)と接続する鎌倉駅。鶴岡八幡宮や小町通りなど近隣に見どころが多く、江ノ電に乗るなら気になる場所のひとつです。

 JRのホームには駅弁を販売する「大船軒」の店舗があり、名物の「鯵の押寿し」などを購入可能。江ノ電を途中下車して、どこかの海辺でその味を楽しむのもいいですね(JR東海道線の藤沢駅にも「大船軒」の店舗はあります)。 

鎌倉駅

 さて、現在の鎌倉駅は江ノ電とJRが一体化した形になっていますが、かつては江ノ電の鎌倉駅は別の場所にあり、駅名も違っていました。

 かつての江ノ電鎌倉駅は、その線路と横須賀線が交差する付近から道路上に出て路面電車のようになり、大巧寺の近く(現在の鎌倉駅の東側)に設けられていました。

 また駅名も、1910年(明治43年)の開業からわずか5年間ですが、当初は「小町駅」を名乗っています。

注目の駅「長谷駅」

 江ノ電の長谷駅(神奈川県鎌倉市)は、「鎌倉大仏」の高徳院、「長谷観音」の長谷寺、江ノ電の踏切すぐ脇に鳥居が立つ御霊神社といったスポットが駅から徒歩圏内にあり、多くの観光客が訪れます。

鎌倉大仏

 2019年度(令和元年度)における江ノ電の駅別1日平均乗降人員は、1位が鎌倉駅(2万5802人)、2位が藤沢駅(2万2968人)、3位が江ノ島駅(1万97人)と、他の路線との接続がある駅が続くなか、4位が特に接続路線がない長谷駅で、9276人です。

 ちなみに長谷駅の駅舎は2020年(令和2年)、周辺の伝統的な「和」を意識したものへ建て替えられました。

注目の駅「七里ヶ浜駅」

 江ノ電の七里ヶ浜駅も観光利用が多い駅で、2019年度(令和元年度)における駅別1日平均乗降人員は、長谷駅に続く5位で7295人。他路線との接続がない駅では、2位ということになります。

 この駅から2~3分も歩けば七里ヶ浜とその海が広がり、サーファーに洒落たレストランなど、「湘南の海」らしい雰囲気を手軽に満喫できるでしょう。

 ちなみに七里ヶ浜駅には、ウインドサーフィンのマストをイメージしたオブジェがあり、その空気を盛り上げています。

七里ヶ浜

注目の駅「江ノ島駅」

 江ノ電で3番目の乗降客数がある江ノ島駅は、すぐ近くに湘南モノレールの湘南江の島駅、徒歩7~8分の場所に小田急電鉄の片瀬江ノ島駅があります。

 観光シーズンになると、江ノ電は特に鎌倉駅が混雑するため、小田急電鉄や湘南モノレールを使って、江ノ島駅から江ノ電を利用するのもひとつの方法でしょう。

江の島駅

 小田急電鉄の片瀬江ノ島駅は「竜宮城」をイメージした駅舎になっているほか、新江ノ島水族館によるクラゲの水槽も設置されています。江ノ電江ノ島駅までの道のりには、観光地らしい飲食店も多いです。

片瀬江ノ島駅

 また湘南モノレールは、アップダウンやトンネル、スピード感から、ジェットコースターにも例えられる路線。その湘南江の島駅には、周辺の景色を一望できるルーフテラスも用意されています。

湘南モノレール

 なお江の島へは、これら各駅から江の島弁天橋を渡って、徒歩で15分から20分程度の距離。

 ちなみに、その江の島にそびえる展望灯台「江の島シーキャンドル」、日本初の屋外エスカレーターで、かんたんに江の島の頂上部へ行ける「江の島エスカー」は、江ノ島電鉄の運営です。

江の島

掲載日:2024年8月9日


筆者プロフィール

恵知仁

鉄道ライター、乗り物ライター。ウェブメディアを立ち上げ、初代編集長を約6年務めた経験と、乗り物全般の取材で得た知識を元に記事を制作。一児(子鉄)の父。ウェブサイト「おやこてつ」運営。
「おやこてつ」URL:https://oyakotetsu.info/

提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/