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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「お出かけ、道南いさりび鉄道 ~あえて新幹線から降りてみる旅~」


「北海道の入り口」というと、現代の旅行者目線だと実質的に「新千歳空港」となるのでしょうか。
ただ、現代の鉄道目線では「青函トンネル」ですね。北海道新幹線、本州と北海道を結ぶ貨物列車、JR東日本の豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」が、津軽海峡の海底下にあるそのトンネルを通って北の大地へ渡ります。

貨物列車と「TRAIN SUITE 四季島」がそうして北海道へ上陸したあとに通るのが、第三セクター鉄道の道南いさりび鉄道です。
道南いさりび鉄道の線路はかつて、JR北海道の江差線でした。
2016年(平成28年)3月26日の北海道新幹線開業にともない並行在来線の江差線はJR北海道から経営分離されることになりました。それを引き受ける形で、道南いさりび鉄道が誕生しています。
道南いさりび鉄道がJRの江差線だった当時、本州と北海道を結んでいた寝台特急「北斗星」「トワイライトエクスプレス」などが走り、その線路は名実ともに「北海道の入り口」になっていました。
しかし北海道新幹線が開業したいま、その線路を通って本州と北海道を結ぶ旅客列車は「TRAIN SUITE 四季島」だけ。「北海道の入り口」的な存在感は、だいぶ薄くなってしまったかもしれません。
ですが「北海道の旅」を楽しむなら、本州から乗ってきた北海道新幹線を、終点の新函館北斗駅ひとつ手前の木古内駅であえて下車し、道南いさりび鉄道に乗って函館を目指すプランもオススメです。

青函トンネル以外の区間でもトンネルが多い北海道新幹線に対し、道南いさりび鉄道はその車窓などで「北海道に来たこと」を存分に感じさせくれるからです。
道南いさりび鉄道は、五稜郭駅(北海道函館市)と木古内駅(北海道木古内町)を結ぶ37.8kmの路線。すべての旅客列車が五稜郭駅からJR函館本線に乗り入れ、1駅先の函館駅まで運行されます。
JR江差線だった時代は青森~函館間を結ぶJR津軽海峡線の一部として、先述の寝台特急や特急「スーパー白鳥」などが行き交いました。
ただ、その線路は道南いさりび鉄道になった現在も、貨物輸送では本州と北海道を結ぶ大動脈です。JR貨物のコンテナ列車とすれ違ったときに「ジャガイモやタマネギを満載しているのかな」などと想像してみると、また旅情が高まってくるでしょう。

JR貨物の資料によると、北海道外へ出荷されるジャガイモ、タマネギのうち約5割を同社が輸送しているそうです。
「道南いさりび鉄道」という名前は、その沿線の海で見られる漁り火が由来です。函館名物のイカなどを釣る漁船の漁り火を、実際にその列車から見ることができます。
道南いさりび鉄道の線路は、函館の街から南西側に、津軽海峡へ沿うように敷かれており、夜になると車窓に漁り火が見えることがあるのです。特に上磯駅(北海道北斗市)から木古内駅にかけての区間は、海が近くに見えます。

この漁り火や、海越しに見える函館の街の夜景をより楽しめるよう、車内の照明を暗くする「夜景列車」も例年12月に運行されており、予約不要、別料金不要で乗ることが可能です。
「函館の夜景」は函館山の頂上から眺めるのが定番ですが、逆に海沿いを行く列車から頂上を光らせた函館山と津軽海峡の夜景を楽しむのも乙でしょう。ちなみに津軽海峡でのイカ漁は、夏から冬にかけて行われるそうです。

道南いさりび鉄道は夜景もいいですが、「北海道に来た感」を盛り上げてくれるのは、やはり景色がよく見える日中でしょう。
本州から乗ってきた北海道新幹線を木古内駅で降り、道南いさりび鉄道に乗り継いで函館に向かうとします。
しばらくして右側に、海が見えてきます。先ほどその海底下を通ってきた、津軽海峡です。
海の遠くに、陸地が見えるかもしれません。さっきまでいた本州です。
そして右側前方に、島のようにも見える函館山が現れ、列車が進むにつれ次第に大きくなってきます。

近くを走る道路に目を向ければ、その上に「矢印」があります。積雪時に道路の端を示すため設置されている「固定式視線誘導柱」で、特に北海道で多く見られるものです。

車窓に流れていく、積雪や寒さを考慮した構造の家屋、北海道発祥のコンビニ「セイコーマート」。
木古内駅から函館駅まで、およそ1時間。道南いさりび鉄道はこれから始まる「北海道の旅」の序曲として、その気分を大いに盛り上げてくれることでしょう。
北海道新幹線から乗り換えるとき、木古内駅で時間ができてしまったら、駅前に「道の駅 みそぎの郷 きこない」があるので、買い物や食事を楽しむのもいいですね。
道南いさりび鉄道では、その魅力を満喫できる観光列車「ながまれ海峡号」が運行されています。

「ながまれ」は、道南地域の方言で「ゆっくりして」「のんびりして」という意味。通常の2倍の時間をかけて函館~木古内間を1往復するため、先述した津軽海峡や函館山の車窓をより落ち着いて楽しめるほか、この「ながまれ海峡号」だけのお楽しみがいろいろ盛り込まれていることに注目です。
「ながまれ海峡号」は函館駅を夕方に出発し、まず上磯駅ホームで地元特産品の立ち売りを実施。約15分間停車したあと、暮れゆく津軽海峡が車窓に広がるなか、木古内駅に到着します。
ここで函館駅に折り返しますが、約40分の停車時間があり、駅前の道の駅で買い物などが可能です。
そして函館駅へ帰る途中、茂辺地駅(北海道北斗市)に到着すると、いい匂いがしてくるでしょう。地元の人たちがホームで海鮮バーベキュー「いさりび焼き」を行っており、その焼きたてを「ながまれ海峡号」の乗客は味わえます。
茂辺地駅を発車した「ながまれ海峡号」は、車内の照明を暗くします。いつの間にか下りていた夜のとばり、そこで「函館の夜景」を列車から楽しむためです。

このように「ながまれ海峡号」は、道南いさりび鉄道の魅力を満喫できるうえ、さらに「いさりび焼き」といったこの列車だけの魅力を盛り込んだ観光列車です。「函館の夜」は、山に登って夜景を楽しむだけじゃないのです。
Nintendo Switch / Steam「A列車で行こう ひろがる観光ライン」には、この「ながまれ海峡号」を収録。海沿いをのんびり走らせてみたいですね。


A列車で行こう ひろがる観光ライン
Nintendo Switch / Windows (Steam)
また、Nintendo Switch 2「A列車で行こう9 Evolution」やPlayStation 4「A列車で行こうExp.+DX」などには、JR北海道のH5系新幹線が収録されています。


A列車で行こう9 Evolution
Nintendo Switch 2
なお「ながまれ海峡号」は運転日が限られており、事前にツアーへの申し込みが必要なことに注意が必要です。飲食物の提供は、ここに書いた以外にも行われます。
道南いさりび鉄道の沿線には、途中下車して楽しめる観光スポットもあります。
特に有名なのは、トラピスト修道院でしょうか。1896年(明治29年)に創立された日本最初のカトリックトラピスト男子修道院で、ここで作られる「トラピストクッキー」「トラピストバター」は北海道土産の定番です。

トラピスト修道院は、道南いさりび鉄道の渡島当別駅(北海道北斗市)から徒歩およそ20分。修道院へ続く立派な並木道も「ローマへの道」として人気になっています。
道南いさりび鉄道の線路が、かつて本州と北海道を結ぶ旅客の大動脈だったことを思い出させてくれる施設もあります。茂辺地駅から徒歩およそ8分の場所にある「北斗星スクエア」です。
かつて上野~札幌間を結んでいた寝台特急「北斗星」の車両を宿泊施設にしたもので、往年のブルートレインに乗車した気分で朝まで過ごすことができます。
北海道新幹線ができて便利になりましたが、道南いさりび鉄道を素通りしてしまうのはちょっともったいないと、私は思います。
掲載日:2026年7月24日
提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/)