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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「こだわりマップの作り方:長野 前編」


A列車jpでは過去、新幹線と地方鉄道をテーマに福井、上田のマップを作ってきましたが、今回は第3弾として地下複線区間を持つ稀有な地方鉄道、長野電鉄を再現していきます。過去記事から一歩進み、街を再現する手法についてより具体的に紹介していきたいと思います。

実は筆者は3年前に長野マップを作ったことがあります。2023年1月の長野旅行で善光寺を中心とした長野駅中心の街並み、長野電鉄終点である湯田中温泉の風景に魅了され、帰ってすぐに再現に着手したのです。
しかしこれが難題でした。本作は8方向の線路、4方向の道路、そして東西または南北の一直線にしか配置できない新幹線でマップを組み立てなければなりません。長野市周辺の地図を見ると、新幹線は南西から北東へ、ほぼ直線で走っているため、マップの南北軸を左に45度傾ければ南北に新幹線を置くことは可能です。

ところが長野にはもうひとつの軸があります。長野駅前から善光寺までの中央通り(旧北国街道)、それと並行する長野大通りの長野電鉄地下区間です。新幹線を南北にすると、道路が斜めになってしまい、成立しないのです。
結局、無理やり新幹線と中央通りを並行させてマップを作りましたが、長野電鉄の長野駅から北長野駅付近の「ふくらみ」を表現できなかったため、本郷駅、桐原駅、信濃吉田駅を置くスペースが取れず、長野電鉄の再現としては不十分な結果に終わってしまいました。

同じジレンマに直面したのが、A列車jpの再現マップ企画第一弾として制作した福井マップでした。こちらも新幹線とフェニックス通りの併用軌道が並行するため適切な幅が取れず、一部の駅を省略せざるを得ませんでした。
北陸新幹線の開業を記念した企画だったため新幹線を削る選択肢はありませんでしたが、新幹線開業前のJR北陸本線(現・ふくいハピライン)を再現したらどうなるだろうかと試してみたのが福井リテイクマップです。
今回は同じ手法を取り入れつつ、通常の線路で「新幹線」を再現した「長野リテイクマップ」を作って行きます。なお新幹線はオブジェとして設置するものの、何も走らないのは寂しいので、新幹線をイメージした架空車両「スーパー特急 あさま」を作成しています。
改めて地図を見ながら設計の方向性を確認しましょう。前述のように長野のJR線・しなの鉄道線はほぼ斜めの直線です。その他の主要道路も多くが東西、南北方向のため、新幹線にこだわらなければ再現が容易なマップと言えそうです。
長野マップのテーマは以下の4点に定めました。
1.千曲川と犀川に囲まれた川中島、飯綱高原など地形の再現
2.善光寺の門前町・長野の再現
3.長野電鉄全線の沿線風景の再現
4.新幹線・JR線・しなの鉄道線及び貨物駅、車両基地の再現
今回は初めての取り組みとして320×320マスのエクセルを用いた配置シミュレーションを行いました。本マップは斜めの要素が多く絡むため、線路や道路が重要ポイントで接合するか、スペースが確保できるかを事前に確認する必要があると考えました。手間は非常にかかりますが、結果的に総作業時間は短縮できたように思います。

左の地図はひとつのマスが5×5km、全体で20×20kmの縮尺です。一方、本作のLサイズマップは320×320マス、設定上は1マス50m、実態としては1マス20m(1両1マス)であり、理論上は6~15km四方が適正サイズと言えます。
長野マップは長野電鉄全線を再現したいのですが、20×20kmでも足りません。全体を縮小すると都心の再現が難しくなるため、建物の多い中心地は縮尺を大きく、周辺部は小さく調整。はみ出してしまう長野電鉄の末端区間(信州中野~湯田中温泉間)は、大幅にデフォルメして右上の区画(D1)に収めることにしました。
基準となる長野駅はマップ左下4分の1の地点に置きます。長野電鉄の再現だけならば、もう少し南にずらす選択肢もありますが、市街地と川中島の地形をしっかり描くために、長野市中心部はA3・A4・B3・B4の4ブロックで再現することにします。
A1・A2・B1・B2の4ブロックは飯綱山を中心とする丘陵、C4・D4は妙徳山を中心とする須坂市の丘陵としてまとまった空間を取っています。スペースが足りないとつい市街地を広げたくなりますが、河川や山地、丘陵をしっかり再現するとマップが引き締まります。

丘陵は単にマスを積み上げるのではなく、河川の浸食によって生成された崖線を意識して作り込んでいきます。また河川はいつも通り全ての地面を1マス上げてから、河川の部分だけを掘り下げて、湖のタイルを配置しています。作成したマップが左の図、右が地形図です。前述の通り長野市街地のスペースを広く取ったことで、千曲川が実際よりやや膨らんでいる以外は、ほぼ正確に再現できたことが分かります。

実際の画像を見てみましょう。まずは川中島の千曲川と犀川の合流点です。道路は配置上の制約がありますが、川は比較的自由に形を整えられるので、かなり正確に再現することができました。大河川は幅を広く取り、中洲を設けるとリアリティが増します。
続いて裾花川です。善光寺周辺は、この川が作り出した緩やかな扇状地の扇頂部にあり、長野駅付近とは約2キロで30mもの高低差があります。市街地から善光寺、背後の段丘、そして山地へと続く地形の再現は本マップの中核ともいえる重要事項でした。

分かりやすくするために、データをテンプレートモードに巻き戻したのが上の画像です。善光寺周辺は2段階上げ、東側に城山公園を置きました。夕陽ヶ丘は善光寺から1段、雲上殿は2段上げて山地に接続しています。市街地に段差を設けると建物の配置が制限される上、段差部分の処理にも違和感が生じがちですが、「舗装」タイルで段差を埋め、できる限り目立たないようにしています。
地形の全体像がつかめたので、線路と道路の配置を検討します。あらかじめ大学、病院、市役所などスペースを取る建物をどこに設置するか、何マス確保する必要があるか確認しながら道路計画を立てます。本マップではざっくり、下記の施設を想定したスペースを確保しています。

必要なスペースを確保した上で線路と道路を仮置きし、位置関係が破綻しないか確認します。全マスシミュレーションの利点は、エリア単体ではなく全体のバランスを確認できることです。中心部はスペースがあるに越したことはありませんが、取り過ぎれば他エリアを侵食し、線路と道路の位置関係が合わなくなってしまいます。
長野マップでは基準となるJR線・しなの鉄道線を斜め45度で配置しますが、駅部や在来線・新幹線の線路が入れ替わる箇所があるため、ところどころ線路を縦にする必要があります。ここがゲームのキモだけに、線路と道路の位置を1マスずつ確認しながら全体の配置を確認します。

今回は長野総合車両センターと北長野貨物駅の再現にチャレンジします。しかしこの付近は、在来線・新幹線と長野電鉄線が立体交差しつつ、これらを県道60号長野荒瀬原線が跨ぎます。
さらに長野運動公園の脇を走る道路が在来線・新幹線をくぐった後にサンロード(長野市北部幹線)と交差するなど、非常に複雑な形状をしています。ここから自然に線路を分岐させつつ、貨物駅は実際に機能するように設計しなければなりません。
実はこのゲーム、そのままでは斜めの4車線を跨ぐ道路は作れません。これを可能にする「ウラ技」は上田マップの記事で触れたので割愛しますが、実現可能かひとつひとつ検証していきます。
結果的に概ね意図通りに完成しましたが、いくつか妥協点もあります。長野総合車両センターは本来、長野駅側に線路が向いているのですが、線路レイアウトの都合上、北長野貨物駅と同様縦向きのレイアウトとしました。また北長野駅東側のスペースが取れず、窮屈になってしまったのも反省ですが、道路の位置関係上やむを得ないことでした。

この施設は車両の改造や解体を行っているため、営業列車が頻繁に出入りすることはありません。そこで施設内に「解体線」を設置し、廃車が進む211系、115系を展示する演出をしています。北長野貨物駅は北長野駅の信号場と組み合わせ、信越本線(南向き)、しなの鉄道北しなの線(北向き)の両方から発着できる構造としました。
マップ中央の重要拠点は目途が立ちましたが、最も重要なのは線路と道路、建物が込み合うターミナル駅周辺のレイアウトです。本マップにおいては、斜め45度の長野駅を縦、横どちらに傾ければ、線路と主要道路の配置が自然か、駅前を再現しやすいかを検討しなければなりません。

両パターンを比べてみると、縦向きでは善光寺口(西口)、横向きでは東口の道路配置が自然となり、反対は歪んでしまいます。今回はマップのテーマである善光寺口の再現を優先し、縦向きで作ることにします。
なお実際の長野駅は在来線が3面5線、新幹線が2面4線ですが、再現すると駅が巨大になりすぎるので、在来線2面3線、新幹線1面2線に縮小します。在来線のほとんどの列車は長野駅で系統分断されており、それぞれの方面に折り返し運転しています。2面3線では容量が不足しますが、駅南側の留置線を再現し、いったん引き上げてから折り返し運転することで解決します。

善光寺周辺と権堂周辺の新旧マップを比較すると、前者は187マスから121マス、後者は270マスから121マスへ面積が縮小しています。これによりビル配置などに制約が生じましたが、駅東口の大規模施設用スペースが確保できたことで全体的なバランスが向上しました。後から大型の建物を入れようとすると大工事が必要になるので、再現のキモとなる施設は事前にしっかり確認しておきましょう。
明日公開の後編ではマップ細部の作り込みと鉄道車両、バス車両の再現を紹介します。先に完成したマップを見たい方は、シナリオコード「88KJ9N4」(Switch版)で配布しています。

A列車で行こう はじまる観光計画 Nintendo Switch 2 Edition
Nintendo Switch 2
掲載日:2026年4月9日
提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/)