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コラム

A列車jp発「お出かけ、神戸電鉄 ~港町の登山鉄道で「神戸」を楽しむ~」

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都市開発鉄道経営シミュレーション「A列車で行こう」に制作協力いただいている
各鉄道会社をフィーチャーして、歴史や沿線の魅力について触れていく応援企画。
今回ご紹介するのは「神戸電鉄」。
さあ列車に乗ってお出かけしましょう。

大都会の登山鉄道

 歴史ある港町で、「坂の街」としても知られる兵庫県神戸市。中心市街地が、大阪湾と六甲山地に挟まれた細長いエリアに広がっているため、その細長い街の山側には多くの坂道があります。

 鉄道でも、「神戸」といえば「坂」です。

 「山登り」に深い縁がある日本国内の鉄道事業者が集まった、「全国登山鉄道‰会」という団体があります。

 その加盟社のひとつが、神戸電鉄です。

 六甲山地の海側にある神戸の中心市街地から、その山を越えて内陸を目指すため、50‰(パーミル)という一般的な鉄道ではふつうない急な坂道が連続します。

 神戸電鉄の列車は、中心市街地の地下に設けられた新開地駅(神戸市兵庫区)から10分少々で標高を300m近くもあげて、六甲山地の北側にある鈴蘭台駅(神戸市北区)に到着。そのあいだ、車窓が地下、市街地、山と目まぐるしく変化し、海と山に挟まれた「神戸」という街を実感させてくれるでしょう。

 ちなみに「全国登山鉄道‰会」へ加盟している鉄道会社は、神戸電鉄、南海電鉄、叡山電鉄、大井川鐵道、アルピコ交通、富士山麓電気鉄道(富士急行線)、小田急箱根(箱根登山電車)のあわせて7社です。

 また「50‰」は、「水平距離1000mあたり50mの高低差がある勾配」という意味。日本の鉄道でトップ5に入る急勾配です。

馬に乗って駆け下りたい坂道

 この神戸電鉄の坂道は、歴史的にも有名です。

 平安時代の1184年に発生した源平合戦のひとつ「一ノ谷の戦い」。このとき源義経は断崖を一気に駆け下って急襲することで、平家陣営を大混乱に陥れたとされています。「鵯越(ひよどりごえ)の逆落とし」と呼ばれる、『平家物語』における大きな見どころですね。

 この源義経が「鵯越の逆落とし」を行った場所が、神戸の中心市街地から鈴蘭台にかけて神戸電鉄が山を越えていくあたりだ、とする説があるのです。

 その山越えの途中にある神戸電鉄の鵯越駅には、「源義経ゆかりの地」とPRする掲示もあります。

 実際に発生した場所、またそもそも本当にあったかについては諸説あるようですが、この故事を思い浮かべながら電車に乗ると、「神戸の坂」がより楽しくなるのは確かですよね。

神戸市内だけど「秘境駅」

 この坂道の途中には、菊水山駅という「秘境駅」がありました。

 神戸市内ながら周囲に民家などが見当たらない「なぜこんな山中に駅が?」という環境にあった駅で、かつては付近にある神戸市下水処理施設の職員、ハイキング客らが利用していたそうです。

 しかしその需要も減って、2005年(平成17年)に営業休止、2018年(平成30年)に廃止となっています。

 神戸電鉄に乗る際は、秘境駅「菊水山」の遺構を車窓に探してみるのも面白いでしょう。鵯越駅と鈴蘭台駅のあいだに設置されていました。

駅名を変えた「関西の軽井沢」

 そんな秘境駅を通って、坂を登った神戸電鉄の列車が到着する鈴蘭台駅はかつて、避暑地でした。

 六甲山地の北側にある標高300メートルから400メートル程度の地域で、夏場は気温が神戸市の沿海部と比べて3度から4度ほど低かったため、別荘地として開発されたのです。

 「鈴蘭台」という駅名も、1928年(昭和3年)の開業当時は「小部(おぶ)」でしたが、別荘地として売り出すため、1932年(昭和7年)に高原をイメージした「スズラン」を使って改名されたもの。「関西の軽井沢」と表現されたこともありました。

 現在の鈴蘭台駅周辺はベッドタウンとして発展していますが、その歴史を知っていると、また違って見えるかもしれません。

大きく3つに分けられる神戸電鉄

 ここで神戸電鉄の路線について、かんたんにご紹介しましょう。

 1926年(大正15年)に神戸有馬電気鉄道として誕生したのが始まりで、あわせて69.6kmある路線は、運行系統で分けると次の3つになります。

 新開地駅と、有馬温泉駅(神戸市北区)、三田駅(兵庫県三田市)方面を結ぶ「有馬・三田線」。

 新開地駅と、三木駅(兵庫県三木市)、粟生駅(兵庫県小野市)方面を結ぶ「粟生線」。

 三田駅と、ウッディタウン中央駅(兵庫県三田市)方面を結ぶ「公園都市線」。

 有馬・三田線は沿線のベッドタウン、有馬温泉と、神戸市中心部、JR福知山線に接続する三田駅を結ぶ、神戸電鉄の背骨的な路線です。

 粟生線は、都市近郊路線的な有馬・三田線と比べて郊外路線的で、神戸市中心部から離れるほど、のどかな空気が漂います。

 公園都市線は全区間が兵庫県三田市内で、そのベッドタウン路線ですね。

 なお、新開地駅があるのは神戸市の中心市街地、JR神戸駅(神戸市中央区)から徒歩10分ほどの場所です。

 また有馬・三田線と粟生線の列車は、新開地~鈴蘭台間で同じ場所を走行。どちらに乗車しても、先述した坂道を楽しめます。

 Nintendo Switch / Steam「A列車で行こう ひろがる観光ライン」には、神戸電鉄の6500系電車を収録。山あいに開発した街に走らせると、よく似合うかもしれません。

Nintendo Switch 2

 

沿線にある全国区の見どころ

 神戸電鉄沿線のお出かけ先といえば、有馬温泉は全国区ですね。『日本書紀』にも登場し、古くから「日本三名泉」などに数えられるほか、豊臣秀吉が愛した温泉とも伝えられています。

 有馬温泉まで、神戸市中心部からは地下鉄経由のほうが早い場合もありますが、個人的にぜひ一度は神戸電鉄で山越えを楽しんでほしいと思います。「神戸」という街の地勢がよく分かりますし、旅情もありますからね。

 また六甲山地も、沿線にある全国区のお出かけ先といえるでしょうか。

 六甲山地は、ロープウェイ、ケーブルカー、バスを使って越えることが可能。それらと神戸電鉄を組み合わせ、六甲山周遊と温泉の旅を楽しむプランもオススメです。

 電車で山を登り温泉に入ってくつろいだあとは、ロープウェイで六甲山に行き神戸の夜景を楽しむ、といった感じでしょうか。

線路のすぐ脇で起きた「干殺し」

 秀吉ゆかりの場所という意味では、神戸電鉄沿線にもうひとつ、歴史好きには有名であろう場所があります。三木城です。

 内容が内容なので「ゆかりの場所」というのはどうかとも思いますが、織田信長による播磨攻めのなかで、その配下だった秀吉は別所長治軍がこもる三木城を包囲。城内への補給線を断ち切り、2年近くにも及ぶ兵糧攻めを行いました。

 「三木の干殺し」と呼ばれる合戦で、これにより別所軍には数千人の餓死者が出たともいわれています。

 三木城跡は、神戸電鉄粟生線の三木上の丸駅(兵庫県三木市)すぐ隣。みき歴史資料館といった施設もあわせて楽しむことが可能です。

 また三木市内には、秀吉の参謀として活躍するも、この三木合戦で病没した竹中半兵衛(重治)の墓、秀吉が有馬温泉のお湯で戦傷者を癒やすため整備した湯の山街道、といった見どころもあります。

三木城跡付近の美嚢川を渡る神戸電鉄の列車

沿線でにじみ出る「神戸」の歴史的存在感

 最初に述べたとおり、「神戸」といえば「港町」のイメージが強いかと思いますが、神戸電鉄は「坂」方面なので、そのお出かけで直接楽しむことはできません。

 しかし、歴史ある港町ゆえの場所は沿線にあります。

 12世紀の後半(平安時代)、平清盛は大輪田泊(現在の神戸港の一部)を大修築し、日宋貿易などに活用。その近くに雪見御所を造営して暮らしたほか、さらに福原京を造営し、都にしようと考えました。

 この雪見御所、福原京の跡地と伝えられる場所が、神戸電鉄の新開地駅、湊川駅エリアにあります。

 また14世紀(南北朝時代)には、足利尊氏が水軍を活用して楠木正成と新田義貞を破り、室町幕府の成立へと繋がった「湊川の戦い」が発生しました。

 この古戦場も、神戸電鉄の新開地駅、湊川駅エリアです。湊川駅すぐ近くの湊川公園には楠木正成像、10分ほど歩いた先には楠木正成を祀る湊川神社があります。

 これら歴史の教科書に載っているレベルの話が複数あるのは、「神戸」という港町がいかに古くから地理的に重要な場所であったかを示すものといえるでしょう。

 「鵯越の逆落とし」も、福原に陣を置いた平家への奇襲とされていますしね。

掲載日:2026年4月24日

この記事の筆者

恵知仁

鉄道ライター、乗り物ライター。ウェブメディアを立ち上げ、初代編集長を約6年務めた経験と、乗り物全般の取材で得た知識を元に記事を制作。一児(子鉄)の父。ウェブサイト「東京電車」運営。
「東京電車」URL:https://train-writer.jp/

提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/

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