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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「続・こだわりマップの作り方:上田編 ③建物建設~鉄道ダイヤ」

A列車で行こう はじまる観光計画 Nintendo Switch 2 Edition
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コラム

A列車jp発「続・こだわりマップの作り方:上田編 ③建物建設~鉄道ダイヤ」

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以前好評を博したコラム「こだわりマップの作り方」が帰ってきました。
今回は全四回に分けて、より詳しく「はじまるA列車」での再現マップづくりのコツをご紹介。
第三回は、その街らしさを表す細かな作り込みに迫ります。
 

①マップの設計はこちら

②地形、鉄道、バスはこちら

店舗、住宅の配置方法にもこだわりを

 
前回まででここまで形になっていますが、まだまだやることはあります

 ここからガソリンスタンド、パチンコ店など特徴的な施設を配置し、次にコンビニなど小規模な店舗、最後に一般住宅、一般商店を配置していきます。商業施設「飲食」「小売」の配置は、Googleマップで検索して決定しましょう。

 商業施設は地域ごとに配置するのではなく、同一種類ごとに一気に配置するのがおすすめです。本作は子会社を除き、マップ上のどこにどんな施設があるのか知る方法はありません。

Googleマップより(©2025 Google)

 店舗は航空写真やストリートビューで名称やチェーンを確認し、大きな駐車場を備える場合は「駐車場(付属)」を付けましょう。ホームセンターやガソリンスタンド、スーパーなどが集まる大規模ショッピングセンターは、複数店舗を駐車場で繋いでひとつの施設のように見せます。

 店舗にもこだわります。例えば本作のコンビニは「セブンイレブン」、「ローソン」、「ファミリーマート」、「サークルK」、牛丼屋は「すき家」、「吉野家」、「松屋」をモデルにしたパターンが用意されています。拡大して細かく見る人はごく一部かもしれませんが、地元の人に「あってる!」と思ってもらえるように、可能な限り一致させて配置しています。

 一般住宅の設置は最も時間のかかる作業です。手間を省くなら範囲指定で「ランダム」としてもいいのですが、住宅にも街の個性はあらわれます。実際の地図を見比べてみましょう。

 左図は上田駅近くの昔ながらの住宅地、右図は上田市郊外の住宅地「緑が丘」です(同縮尺)。郊外の一戸建ては面積が広く、土地は整然と区切られています。また1人1台の自家用車が必須の車社会なので十分な駐車スペースを備えており、まとまった駐車場は見当たりません。

 ゲームでは「一般住宅1」の一戸建てを使って再現します。玄関が道路に面していないと違和感があるので注意しましょう。また建て売りの住宅地は同じ形状、同じ色の建物が並んでいるので、形状と色を統一して配置しましょう。

 一方、都市部の密集した住宅地は「一般住宅2」「一般住宅3」の1マスに複数の建物があるタイルで表現しますが、全てのマスを住宅で埋めるとゴチャゴチャしすぎるので、適度に空地を作りましょう。ここで活用したいのが駐車場です。都市部の住宅は小さく、敷地内に駐車スペースを確保できないため、月極駐車場が多数存在します。

 比較してみましょう。左図はランダムで配置した住宅地です。5×5は詰め込みすぎすが。2×3は全ての住宅が道路に面しているため、整然としています。3×5、3×3はやや詰め込み感はあるも、違和感まではありません。ランダム配置であっても、1辺を2マスまたは3マスにするだけでリアリティは出ますが、再現としては不十分です。

 そこで右図では住宅の向きをあわせるとともに、駐車場、家庭菜園、木を組み合わせて配置しています。都市部であれば駐車場を中心に、田園地帯であれば住宅の比率を減らすことで、地域ごとの風景を再現します。

ダイヤづくりは楽しさ優先

 続いて鉄道ダイヤの作成です。本マップは、しなの鉄道と上田電鉄あわせて7路線ありますが、それぞれの運転形態は単純です。前作福井マップでは、急行運転、ヒゲ線(スイッチバック)などの要素がありましたが、今回の難易度はそれほど高くありません。

福井鉄道再現マップのダイヤ(OuDiaで作成)

 とはいえ全区間単線のダイヤをゲーム上の操作だけで作るのは大変な手間です。上田電鉄の特徴は交換可能駅の少なさです。別所線は11.6kmの路線に城下、上田原、下之郷の3駅しかなく、始点の上田駅、終点の別所温泉駅はともに1面1線です。全長21.5kmの福井鉄道福武線は約3kmの複線区間と9つの交換可能駅があり、全長33.2kmの長野電鉄長野線は6.3kmの複線区間と7つの交換可能駅があるのに比べ、非常に制約の大きい路線です。

 この条件でダイヤを組む選択肢もありますが、せっかくのゲームですから楽しめなければ意味がありません。そこで2面2線構造から交換設備を撤去した中塩田駅、中野駅を復活させ、同様にかつて2面2線だった別所温泉駅も元の姿に戻しました。北陸新幹線の建設にあわせて高架化された上田駅の1面1線ホームは別所線を象徴する設備なので、ここには手を着けずにダイヤを組んでいきましょう。

 前回も紹介したように、筆者は「OuDia」というフリーソフトを使用してダイヤを組んでいます。使い方は慣れれば簡単です。まず駅名と次駅までの距離(ゲーム上の距離をメートル単位で入力)を入力します。様々な設定項目がありますが、とりあえず交換可能駅を「主要駅」に設定し、駅時刻形式を「発着」にするだけで十分です。

 続いてゲーム上で列車を配置し、運行計画で到着、発車時刻を確認し、列車単位で入力すると、自動的にダイヤグラムが作成されます。時刻入力画面で「時刻の繰上げ・繰下げ」にチェックが入っていれば、発着時刻を修正すると以降の駅も自動的に変更されます。

 「主要駅」はダイヤグラム上の横線が太くなるので、ここで上下列車が交差するよう時刻を調整していけば、単線のダイヤを作れます。ダイヤのパターンが見つかれば、それを繰り返すだけで1日分のダイヤができます。うまく交換できない場合は停車時間で調整しますが、リアリティを保つため、できる限り20分、30分の停車は設定しないようにしています。

上田再現マップのダイヤ(OuDiaで作成)

 11時台、17時台の上田駅にダイヤの隙間があったので、青木線の一部列車を別所線上田駅まで直通させました。別所線の上田~上田原間は元々、青木線として開業しており、両路線は一体的に運行していました。今回、復活させた青木線は上田原~青木間の折り返し運転を基本としましたが、歴史をふまえて直通列車を設定しました(ダイヤ図の赤線)。

運用を決めないとダイヤは動かない

 ダイヤが組めたら次は、これを個々の列車に割り当てる「運用」を検討します。筆者はOuDiaで作成したダイヤグラムをパワーポイントに張り出し、線を引きながら運用を考えますが、これがなかなか難しいのです。

 ダイヤ作成は基本的に、同じ駅(車庫)から出発し、同じ駅へ戻る形が基本です。慣れれば複数の列車が相互に運用を入れ替えるダイヤも可能で、上田マップでは丸子線がこれを採用していますが、制約が多いため単線ダイヤには向きません。

 上田~別所温泉間は約3時間、往復6時間で走行しますが、折り返し時間を考慮すると5時から24時の19時間で3往復は困難、つまり始発駅に戻れないのです。そこで折り返し駅で時間調整することで、2往復にとどめます。その際、別所温泉駅で列車の発車順序を入れ替えるため、2面2線化する必要があります。

(OuDiaで作成したダイヤグラムを加工)

 これが実際に作成した運用です。しかしここで2つの問題が生じました。1つは別所温泉駅の折り返しホームの割り当てです。ダイヤグラムを見ると13時から16時ごろにかけて「4列車」と「3列車」、「3列車」と「1列車」が同時に存在します。また「1列車」は上述の通り発車順序を調整するため、3時間ほど停車して「2列車」を先に通します。

 同じ番線に2列車が入らないようホームを割り当てるのですが、本作は営業運転中のポイント通過方向が1つに固定されます。そのため「2列車」と「3列車」は常に1番線、「1列車」と「4列車」は常に2番線に到着しまが、そうすると20時台に「1列車」と「4列車」がかぶってしまいます。そこでやむなく、「4列車」の営業運転を別所温泉駅で打ち切り、下之郷まで回送列車として運行することにしました。

 なぜ回送にすると解決するのか、それは、回送列車は営業列車と異なるポイント方向を設定できるからです。「4列車」は19時40分に八木沢駅を出発し、20時ちょうどに別所温泉駅に到着しますが、「営業時間」を19時45分に設定すれば、駅に到着する直前に回送ダイヤに切り替わり、「4列車」は最後だけ1番線に到着します。

 別所温泉駅に到着した列車がゲームの内部的に「営業列車」なのか「回送列車」なのか正確なところは分かりませんが、八木沢駅出発時点の乗客はちゃんと別所温泉駅に到着後、下車しているので、次駅に到着するまでは営業列車の扱いなのだと考えています(違ったらすみません)。

回送列車設定と発車間隔を活用したダイヤ設定術

 ちなみにこのテクニックを応用すれば、複数の運行形態を兼ねることも可能です。以前、作成した長野電鉄をモデルにしたマップでは、神州大野(信州中野)駅の電留線から出発する永野(長野)駅行き「A305列車」を、永野駅到着後に墨坂(須坂)駅行き「B312列車」として運行。墨坂駅で折り返し永野駅行き「A315列車」となり、最後は「B318列車」として神州大野駅の電留線に戻るダイヤを組みました。

(OuDiaで作成したダイヤグラムを加工)

 本来は不可能な変則運転は、上述の到着前に回送に切り替えるテクニックと、駅は運転で使用しない番線にも発時刻を設定できる仕様を組み合わせて実現しています。墨坂駅は2面4線の構造で、「B312列車」と「B318列車」は外側の1番線、4番線を使用しています。

 ところが「B312列車」は墨坂駅に到着する直前に回送ダイヤに切り替わり、折り返し用の2番線に到着します。通常、回送時間帯は営業時間帯を挟むように設定しますが、この列車は営業時間中、墨坂駅に到着する15時前後に極めて短い回送時間帯を設定しています。

 列車は到着後すぐに営業列車に戻り、2番線の営業ダイヤによる発車時刻・発車方向の設定に従って「A315列車」として上り方面に発車します。「B318列車」として到着する際は営業ダイヤのままなので、元通り神州大野方面に進み、電留線では営業時間のまま朝まで待機するというわけです。

 話が大きく逸れてしまいました。別所線のダイヤ設定で生じた2つ目の問題がダイヤパターン設定の限界です。本作の発車時刻は、基準となる時間から何分間隔で何度繰り返すかで決まります。

 前述の通り、一定の距離がある路線では1日2往復が限度です。1本目と2本目で交換駅や停車時間を変える場合は、1回目は8時20分発、2回目は6時間38分後の14時58分発などピンポイントな時刻を設定して対応できます。

 しかし上田マップの「2列車」は上田駅から7時50分、15時00分、21時35分の3回下り列車として運行するため、この手法が使えません。最初の2本は7時間10分間隔なので本来、3本目は22時10分の発車となりますが、これでは上り「1列車」と交換できません。

 1本前の下り列車は19時39分の発車で、終電にするには早すぎるのでもう1本走らせたいのですが、設定が困難なので21時35分発の回送列車として、上田原駅で「1列車」と交換することにしました。

 運転間隔といえばもうひとつテクニックがあるので紹介しましょう。真田傍陽線は上田~真田間の運行が基本で、傍陽線はほとんどが本原~傍陽間の折り返し運転だったようです。上田マップも運行系統を完全に切り離し、その代わり本原駅での接続を徹底する方針でダイヤを組みました。

(OuDiaで作成したダイヤグラムを加工)

 傍陽駅発車時刻は5時20分、12時00分、18時40分の6時間40分間隔ですが、本原駅発車時刻は9時20分、14時8分、21時20分と一見、不均等になっています。しかし実は9時20分から2時間24分間隔の5回繰り返しになっており、そのうち2回目と5回目を使っています。指定時刻に列車がいない場合は順番を飛ばすので、上り列車のタイミングを調整すれば、3回以上の不均等な折り返し運転を実現できるのです。

 

 これで、マップはほとんど完成です。次回はいよいよ再現された上田の街をご覧に入れましょう。先に完成したマップを見たい方は、Switch版シナリオコード「7TXP09X」で配布しています。

Nintendo Switch 2

 

掲載日:2025年12月4日

この記事の筆者

枝久保達也

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。現在は鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行なうかたわら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』で第47回交通図書賞歴史部門受賞。

提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/

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