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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「お出かけ、広島電鉄 ~路面電車で行くおすすめ途中下車さんぽ~」
広島電鉄――通称「広電(ひろでん)」の路線には、大きく2つの顔があります。
まず、広島市中心部を走る「路面電車」としての顔です。
八丁堀、紙屋町、本町といった広島市中心部の繁華街、広島駅、広島港、平和記念公園、原爆ドームといった主要地点と、その周辺市街地の道路上を走行。通勤通学の足、観光客の移動手段として、「広島」という街を支える重要な交通インフラになっています。
もうひとつは、「郊外電車」としての顔です。
広電には、広島市の中心部と、その西隣にある廿日市市の広電宮島口駅を結ぶ運行系統(2号線)があり、通勤通学の足として、世界遺産「厳島神社」がある宮島への移動手段などとして、「広島」に欠かせない交通インフラになっています。
この運行系統(2号線)は、広島駅から道路上を走り、八丁堀、原爆ドームなど市内中心部を経由したのち、専用の線路へ入って、宮島へのフェリーが接続する広電宮島口駅へ至るルートです。
鉄道を使った広島市内~宮島間の移動では、JR山陽本線も利用できますが、広電2号線は広島市中心部を通るのが強み。「原爆ドーム」「厳島神社」というふたつの世界遺産を結ぶ電車でもあります。
ちなみに広島駅があるのは、広島市中心部から北東側へ1~2km離れた場所です。
100万都市ながら本格的な地下鉄がない広島の街は、「路面電車王国」と呼ばれます。なぜそう呼ばれるのか、実際にその街へ行ってみれば実感できるでしょう。
特に広島駅や中心市街地の紙屋町付近にいると、面白いぐらいです。
様々な系統、行き先の電車がひっきりなしにやってきて、朝夕は電車が数珠つなぎになっていることも、「広島の街」ではごく当たり前の光景。
昔ながらの車両では、被爆するも早期に復活して広島市民を勇気づけた「被爆電車」650形、元京都市電の1900形など。
また現代的な車両では、ドイツ・シーメンス社による製造で「欧州」をデザインに感じる5000形「グリーンムーバー」、国産初の完全超低床車両である5100形「グリーンムーバーmax」など。
車両のバリエーションが豊富なことも「路面電車王国」らしさを増幅させます。「古い」「新しい」だけじゃない色々な個性が走っているのもポイントです。
「A列車で行こう9」「A列車で行こうExp.+」には、5000形「グリーンムーバー」、5100形「グリーンムーバーmax」を収録。路面電車の存在感が強い街並み、世界遺産的な何かがあるエリアを走らせると、より雰囲気が出るかもしれませんね。
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そんな「路面電車王国・広島」は2025年8月、大きく進化しました。「駅前大橋ルート」が開通し、広電の電車が、広島駅の駅ビル2階にあるコンコースへ直接、乗り入れるようになったのです。
以前の広島駅でJRから広電に乗り換える場合、いったん駅ビルから出て、駅前広場にある広電ホームまで少し歩く必要がありました。
それが、JRの新幹線改札口、在来線改札口(中央口)を出たら、駅ビル内のコンコースを若干歩くだけで、広電のホームへ行くことが可能になっています。
私は2025年8月、新しくなったばかりの広島駅へ行きました。
JRと広電で乗り換える途中に段差はなく、コンコース、広電ホームとも屋内なので大変便利です。JRのそれら改札口を出たら右へ行くだけなので、迷う人もいないでしょう。
実際に現地へ行ってみて、長距離の新幹線、中距離の在来線、短距離の路面電車がそれぞれの特性を活かし、「広島駅」というハブで結びつき、連携している姿は、公共交通システムにおけるひとつの理想を具現化したようで、ちょっと感動してしまいました。
新しい広電ホームではモニターが多数使われており、いつ、どのホームから、どこ経由の、どこ行きが発車するか、とても分かりやすかったです。
「路面電車」にレトロなイメージを持つ人がいるかもしれませんが、そんな方には広電の広島駅で、「路面電車の進化」をぜひ体験してほしいと思います。
特に、電車の本数が多い朝や夕方、「路面電車王国」らしく多種多様な車両がひっきりなしにやってきて、大勢の乗り換え客を見事にさばいていく光景には、つい見入ってしまうことでしょう。
この「駅前大橋ルート」開通により、広島駅と八丁堀、紙屋町方面への所要時間も、約4分短縮されました。2026年春には、広島市の中心部を環状に巡る「循環ルート」も誕生する予定です。
進化を続ける広電ですが、昔ながらの路面電車らしい雰囲気も各所に残っており、ノスタルジーを楽しむこともできます。
広島市中心部から少し外れた場所にある小網町停留場は、ホームらしいホームがありません。その代わり、道路の一部へ「電車のりば」とペイントした簡素なつくり。買い物帰りの人や学生が自転車に乗って行き交う周囲の風景に、溶け込んでいます。物理的に。
そこに広電の昔ながらの電車がやって来ると、昭和の風景にも見えるでしょう。新しい「グリーンムーバー」タイプの電車がやって来ると、なにやら違和感を覚えます。
広電沿線のお出かけ先、観光スポットとしては、原爆ドーム、平和記念公園、縮景園、広島城、そして宮島など、メジャーどころが多数ありますが、小網町停留場のような生活感あふれる場所で途中下車してみる旅もオススメです。
広島の街中には、名物のお好み焼きを味わえる店舗が多くあります。
なんとなく途中下車してみた停留所で、地元の人に愛されていそうなお好み焼き屋を見つけ、入ってみる。広島東洋カープ関連のなにかが掲示された店内で、地元の人の広島弁を聞きながら、それを味わう。もちろん箸ではなく、ヘラを使って……。
そんな旅を手軽に楽しめるのも、広電の魅力、便利なところだと思います。
2025年8月、私がぶらりと入ったそんな広電沿線のお好み屋さんでは、基本メニューの「肉玉そば」が750円と安かったうえ、味も大満足でした。
また、広島駅~広電宮島口間を結ぶ2号線系統の途中、地御前駅周辺では、「瀬戸内海とカキの養殖イカダ」という広島らしい車窓を楽しむことができます。
地御前はカキの名産地で、それを味わいに行く旅にも広電は便利でしょう。お酒も一緒にいただけますし。
私はあたりやすいので、カキは食べないようにしています。
海と関わりの深い「広島」という土地、満喫するなら船旅も魅力的でしょう。瀬戸内海に面した広島の街は、海上交通も賑やかです。
広島港からは、江田島、宮島といった近隣の島々へ船が運航されているほか、呉港経由で四国は愛媛県の松山観光港へ向かう航路もあります。
江田島は、明治時代に海軍兵学校が置かれた「海軍」ゆかりの島。現在も海上自衛隊の第一術科学校、幹部候補生学校が設けられており、歴史的な建物、資料を見学することが可能です。
呉も日本海軍、海上自衛隊の拠点として知られる都市で、同地で製造された戦艦「大和」の展示を中心とした「呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)」、かつて海上自衛隊で使われていた本物の潜水艦に入れる「てつのくじら館」といった観光スポットがあります。
四国の松山観光港へは、高速船の「スーパージェット」なら、広島港から最短わずか70分。あわせて、160分の所要時間を飲食しながらのんびり楽しめるクルーズフェリーも運航されています。
広島港~尾道港間を、呉港などを経由して航行する「せとうち島たびクルーズ」にも注目です。
呉港では、潜水艦など現役の艦船が集う海上自衛隊基地を船上から見学できるほか、「うさぎ島」として知られる大久野島、江戸時代からの町並みが残る大崎下島の御手洗地区などを、一時下船して楽しむことができます。
この「せとうち島たびクルーズ」に使われる船「SEA SPICA」は、JR西日本の特急「やくも」、観光列車「WEST EXPRESS 銀河」「はなあかり」などと同じ、川西康之氏(イチバンセン)によるデザイン。瀬戸内の島々を間近に楽しめる屋外デッキなど高い非日常性を持った船で、2023年に開催されたG7広島サミットでは、各国首脳が宮島を訪問する際に利用されました。
広電は、これら航路が発着する広島港へのアクセス路線でもあります。
街を駆け、様々な場所、公共交通を結びつける広電の電車。活用すると、「広島」をもっと楽しめるでしょう。
掲載日:2025年9月26日
提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/)