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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「お出かけ、阪神電鉄」
阪神電鉄(阪神電気鉄道株式会社)はその名の通り、大“阪”~“神”戸エリアに路線を持つ鉄道会社で、大手私鉄16社のひとつです。
関西では「○○電鉄」を「○○電車」と呼ぶ場合も多く、阪神電鉄も「阪神電車」と呼んだほうがしっくりくる、という人は少なくないでしょう。
阪神電鉄の路線は、関西の大手私鉄では唯一の特徴を持っています。
大阪の二大繁華街――キタ(梅田周辺)とミナミ(難波周辺)の両方へ、路線があることです。
梅田方面は、阪神本線が通っています。
大阪梅田駅と神戸三宮駅方面を結ぶ路線で、山陽電鉄と直通運転を実施。大阪梅田~山陽姫路間を、乗り換えなしで移動可能です。
難波方面は、阪神なんば線が通っています。
大阪難波駅と、阪神本線に接続する尼崎駅を結ぶ路線で、大阪難波駅では近鉄奈良線、尼崎駅では阪神本線と直通運転を実施。奈良方面と神戸方面を、乗り換えなしで移動可能です。
このように、キタとミナミの両方へ行けることは阪神電鉄沿線の魅力ですし、逆に、観光客などがキタとミナミの両方からお出かけしやすいことも、阪神電鉄のポイントでしょう。
ちなみに阪神電鉄には、例えば神戸三宮~大阪難波間の通勤定期券を持っている場合、別料金不要で阪神本線の大阪梅田駅も利用できる、という制度があります。
また阪神電鉄には、武庫川線という全長1.7kmの短い支線も存在。
阪神本線の武庫川駅から、武庫川に沿ってその河口方面へ延びる路線で、他路線との直通運転はなし。線路が1本しかない単線で、のどかな日常路線といった雰囲気です。
ざっくりいうと阪神電鉄の路線網は、これら「梅田と三宮・姫路方面を結ぶ阪神本線」「奈良・難波と三宮方面を結ぶ阪神なんば線」「支線の武庫川線」の3路線から構成されています。
細かくは、大阪梅田~元町間の「阪神本線」、西代~山陽姫路間の「山陽電鉄本線」のあいだに、元町~西代間の「阪神神戸高速線」が挟まっていますが、ややこしくなるので、この記事ではあえて触れません。
「A列車で行こう9」「A列車で行こうExp.+」には、おもに阪神本線の特急列車で使われる9300系電車、普通列車で使われる5500系電車、阪神なんば線で使われる1000系電車を収録。発展した大都市を走らせると、雰囲気が出そうですね。
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さて「阪神電鉄」といえば、プロ野球球団「阪神タイガース」のイメージが強いでしょうか。
阪神電鉄は阪神タイガースの親会社で、その本拠地である阪神甲子園球場も、阪神本線沿線に存在しています。
とはいえもちろん、阪神電鉄はタイガースばかりではありません。
阪神本線の始発駅である大阪梅田駅では、「大阪名物」で「阪神名物」のご当地グルメを味わうことができます。
大阪梅田駅隣接の阪神百貨店梅田本店で販売されている「イカ焼き」です。
「イカの姿焼き」を連想するかもしれませんが、大阪名物で阪神名物の「イカ焼き」は粉もん。イカの切り身が入った生地を高温の鉄板で挟むようにして焼き、ソースをかけて味わいます。
阪神百貨店では、昭和30年代からこのイカ焼きを販売。店舗の前に行列ができていることも、しょっちゅうです。
私も幾度となくこの店に並びましたが、1枚だけ買う人もいれば、お土産にするのでしょうか、10枚以上買う人も普通にいました。価格は1枚200円前後です。
このイカ焼きは、阪神百貨店地下1階にある立ち食いスタイルのフードコート「スナックパーク」にある店舗、その名も「阪神名物 いか焼き」で販売されており、その場ですぐ味わうことができます。
いか焼きの種類はいくつかあり、私は「ネギいか焼き」と「和風デラ」を買って、すぐ食べることが多いです。
また阪神電鉄の大阪梅田駅では、関西地方でよく見る「ミックスジュース」も、ひとつの名物になっています。
昭和40年代に駅へ店舗が登場したのち、長く愛されているもので、阪神タイガースの応援に甲子園球場へ行く前、大阪梅田駅でこのミックスジュースを景気づけに飲む、という文化もあるようです。
お店の名前は「元祖大阪梅田ミックスジュース」。200円台から、地域に根ざしたその味を楽しむことができます。
阪神電鉄の沿線には、京都の「伏見」、広島の「西条」と並び「日本三大酒所」のひとつに数えられる場所があります。兵庫の「灘」です。
神戸市、西宮市の沿岸部に広がる日本一の清酒生産量を誇る地域で、「日本盛」「大関」「松竹梅」「白鶴」「剣菱」「沢の鶴」といった全国的に著名な銘柄が、阪神電鉄沿線で生まれています。
「灘」は5つの酒造地に分けられることから「灘五郷」と呼ばれており、「今津郷」は今津駅、「西宮郷」は西宮駅など、「魚崎郷」は魚崎駅など、「御影郷」は御影駅など、「西郷」は大石駅など、いずれも阪神本線の駅から徒歩圏内です。
「白鶴酒造資料館」「日本盛 酒蔵通り煉瓦館」「沢の鶴資料館」「菊正宗酒造記念館」といった「灘」の歴史にふれ、その清酒を味わえるスポットも色々存在。阪神電鉄を使えば、マイカーでのお出かけでは難しい「灘の銘酒めぐり」を楽しめます。
「灘」で酒造りが発展した理由として、「宮水」と呼ばれる良質な湧き水の存在、「海沿い」で船での輸送がしやすいことなどのほか、「六甲山地」も挙げられます。
大阪と神戸のあいだは大阪湾と六甲山地に挟まれた地形で、海から山へ、広くはない平地を挟んで、標高が急激に上昇。よって六甲山地から大阪湾へ流れる川は、急流になります。
この急流が、米を精白する水車をよく働かせたことも、酒造りが発展した理由のひとつだそうです。
また、六甲山地から海側へ吹く風「六甲颪(おろし)」が日本酒の寒造り(冬場の仕込み)に適していたことも、「灘の酒造」が発展した理由になっています。
阪神本線は、この大阪湾と六甲山地に挟まれた平地を行くため、その海も山も楽しむことが可能です。
海側へは、魚崎駅で新交通システム「六甲ライナー」が接続。手ぶらでも釣りができる六甲マリンパーク、バードウォッチングを楽しめる六甲アイランド野鳥園といった海、自然系スポットのほか、神戸ゆかりの洋画家、小磯良平さんの作品などを展示する神戸市立小磯記念美術館、コシノヒロコさんが名誉館長を務める公立の神戸ファッション美術館などへ行くことができます。
神戸三宮駅でも、海側へ新交通システム「ポートライナー」が接続。「BE KOBE」のモニュメントがあるしおさい公園、かつてその場所で開催された地方博覧会「ポートピア’81」のパビリオンをベースにしたUCCコーヒー博物館(2026年夏ごろ再開予定)、放し飼いの鳥や花などとふれあえる神戸どうぶつ王国などへ行くことができます。
また、神戸三宮駅から高速神戸駅にかけての沿線は、いわゆる「港町神戸」らしいエリア。神戸ハーバーランド、メリケンパーク、神戸ポートタワー、神戸海洋博物館などの散策、観光を楽しむことができます。
中華街の南京町もこのエリアで、元町駅の近くです。
山側へは、御影駅で六甲ケーブルへのバスが接続。ケーブルカーで六甲山を登った先からは神戸港を一望できるほか、六甲山上バス、六甲有馬ロープウェーを乗り継いで、有馬温泉に抜けることもできます。
ちなみに六甲ケーブルは、阪神電鉄の子会社です。
神戸三宮駅、岩屋駅などからは、摩耶ケーブル・ロープウェー(まやビューライン)へ、バスでアクセスできます。
神戸は夜景でも有名ですが、なかでも、このまやビューラインで摩耶山を登った先の掬星台展望台から見える夜景は「1000万ドルの夜景」と表現され、「日本三大夜景」のひとつに数えられるほど。
ちなみに「日本三大夜景」あとの2つは、北海道の函館山と、長崎市の稲佐山です。
海と山に挟まれた大阪~神戸間は、広くはない平地に阪神本線、JR神戸線(東海道本線)、阪急神戸線と、3つの異なる鉄道会社が通っています。海側から阪神、JR、阪急の並びです。
これら3路線は近い場所を走っていますが、沿海部から山の手まで沿線の空気が異なり、それぞれ別の個性があります。
また「私鉄王国」とも表現される関西、私鉄ごとに異なる文化、個性、雰囲気があります。
なので、大阪から神戸方面(もしくはその逆)でお出かけする場合、行きは阪神電鉄、帰りは阪急電鉄といったように、ルートを変えるのもオススメです。
ちなみに阪急電鉄は、阪神電鉄と同じグループの鉄道会社です。
阪神電鉄と阪急電鉄は異なるルーツを持ち、かつては並行する大阪~神戸間で激しい誘客競争を繰り広げた間柄でした。
しかし、ファンドによる阪神電鉄買収の動きを受け、2006年(平成18年)、阪急ホールディングスが阪神電鉄を子会社化。阪神電鉄と阪急電鉄は、ともに阪急阪神ホールディングスの子会社となり、現在へ至ります。
このため、例えば阪神電鉄の大阪梅田~神戸三宮間で通勤定期券を持っている場合、阪急電鉄の大阪梅田~神戸三宮間も利用できる制度があります(阪急電鉄の通勤定期券で阪神電鉄利用もOK、途中下車不可)。
最後に、阪神電鉄の大きなシンボルである阪神タイガースについて。短い支線の武庫川線では、そのことを強く感じることができます。
武庫川線は、全線が甲子園球場のある兵庫県西宮市内であること、甲子園球場や、阪神タイガースの2軍本拠地だった鳴尾浜球場の近くを通ることから、すべての車両が「野球」をテーマに装飾されているのです。
装飾は編成ごとに異なり、阪神タイガースをイメージした「タイガース号」、甲子園球場をイメージした「甲子園号」、女性タイガースファンをイメージした「TORACO号」、阪神タイガースのマスコットキャラクターをイメージした「トラッキー号」の4種類。
なお、阪神タイガースの2軍本拠地は2025年、西宮市の鳴尾浜球場から、兵庫県尼崎市のゼロカーボンベースボールパークへ移転しています。
この移転先も阪神電鉄沿線で、阪神本線と阪神なんば線が分岐する大物駅から徒歩5分程度の、阪神本線と阪神なんば線に挟まれた場所です。
甲子園球場最寄りの甲子園駅は阪神梅田駅から15分程度で、阪神タイガースや高校野球などに関連した展示を行っている甲子園歴史館、「タイガース神社」とも呼ばれる甲子園素盞嗚神社も付近にあります。
阪神電鉄の、特にこのエリアは「阪神タイガース」が地域文化として確立されています。ひとつの観光として訪れてみるのも一興でしょう。
掲載日:2025年8月22日
提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/)