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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「初めてでもできる鉄道模型の塗装作業」
目次
「鉄道模型の塗装」と聞いて、多くの人は「難しそう」もしくは「ハードルが高くて手を出せない」と思うのではないだろうか。たしかにキットなど未塗装の車両を最初から塗装するのであれば手間がかかるし、完成まで根気がいる。
しかし、完成品として発売されている鉄道模型ならお手軽だ。もの足りないところに少し手を加えるだけで、模型が実車の印象に近づき、グレードアップできる。そこで今回は、完成品の鉄道模型を塗装していこう。
では、どこを塗装すると見栄えがよくなるだろうか。鉄道模型は小さいため上から見る機会が多い。そのため、クーラーやベンチレーター、パンタグラフが屋根の上で目につきやすく、効果的だ。
特に、クーラーとベンチレーターは初心者におすすめだ。プラスチックで作られており、プラスチックは塗料との相性がよく色が乗りやすい。反対に、パンタグラフは一部に金属パーツが使われていて、下地塗装をする必要がある。金属は塗料との相性が悪く、そのまま塗装すると色がすぐに剥がれてしまうためだ。
今回は、クーラーを塗装していく。グリーンマックスの東急8500系を例に、具体的なやり方を見ていこう。
塗装方法は筆、缶スプレー、エアブラシ、この三種類だ。それぞれのメリット・デメリットを知って、お持ちの鉄道模型に最適な方法を探してみよう。
文字通り筆を使って模型を塗装する方法だ。塗料と筆さえあれば塗装を始められる。
配管や窓のサッシなど細かい部分の塗装や、凹み部分に塗料を流し込んで影や立体感を表現する「スミ入れ塗装」にうってつけだ。
缶に入った塗料を、スプレーで模型に吹き付ける塗装方法だ。準備や片付けを簡単に終わらせられるほか、広範囲の塗装に向いている。各模型メーカーから様々なカラーの缶スプレーが発売されている。
後述するエアブラシを使わずに、屋根板や車体などを塗装する場合は必須のアイテムだ。
圧縮された空気によってミスト状に塗料を模型に吹き付ける塗装方法だ。使用前に塗料を薄め、終了後は道具の洗浄をする必要があり、準備や片付けに手間がかかる。
しかし、缶スプレーよりも広範囲を塗りむらなくに仕上げられる。そのため塗り面の美しさにこだわりたい場合や、グラデーションなど塗装を精巧に仕上げたい場合はおすすめだ。
今回は手軽な缶スプレーで塗装し、仕上げとして筆でスミ入れを行うことにした。塗料を選んでいこう。
缶スプレーは多くのメーカーから様々な塗料が発売されているため、どれを買うか迷ってしまうかもしれない。
そんな時は、色で決めよう。実車を観察し、好みの色の塗料を選べばよい。その中でもグリーンマックスから発売されている「鉄道カラー」は、鉄道車両の塗装に特化した塗料だ。迷った場合は、この中から探してみよう。今回は、Mr.カラースプレーのキャラクターホワイトを使う。
また、後で詳しく説明するが、スミ入れ塗料やエナメル塗料の溶剤があると、さらにクオリティアップができる。
はじめに、車両からクーラーを取り外す。
クーラーを外すには、車両の分解が必要だ。まずは現在の状態を写真で記録しておこう。塗装が終わって元の状態に戻す時に参考にできる。
写真を撮り終わったら、車両の床板を外して車体と分解しよう。画像の赤い矢印を参考に、車体中央部を外側に広げると床板が外れる。
続いて車体を裏返しにすると屋根の取付穴が見える。赤い矢印で示した画像の取付穴をピンセットで順番に押すと車体から屋根本体を取り外せる。
最後に外した屋根を裏返しにして、クーラーの取付穴をピンセットで押そう。クーラーを屋根から取り外せたら、分解作業は完了だ。今回塗装するのはクーラーだけだ。それ以外の部品は一旦元の状態に組み直して車両ケースに保管しておこう。
次は作業場所を確保しよう。
室内の場合は、匂いが特に問題になる。そこで排気機能を持つ「塗装ブース」を使おう。ファンを経由して、塗装のミストと匂いを外に排出してくれる。省スペースで済む製品も増えている。今後も継続して塗装作業を行う場合や、エアブラシを使って塗装の質にこだわる場合は購入しよう。
屋外の場合は、ベランダや玄関先、ガレージなどで作業しよう。広いからといって公園など公共の空間での作業は厳禁だ。また天候にも注意が必要だ。雨や雪の日、その後などは湿度が高く、塗装にムラが生じやすい。そのため晴れの日がベストだ。さらに、晴れていたとしても風の強い日も埃が付くおそれがある。同じく作業を避けよう。このように、屋外での塗装は天候が出来を左右する。無理に早く進めようとせずに、適した天候になるまで待つのもキレイに仕上げるコツといえる。
場所を決めたら、セッティングだ。缶スプレーやエアブラシを使う場合は、ミスト状となった塗料が周囲に飛び散る。新聞紙やビニールシートを敷いて汚れを防ごう。さらに、塗料に使われるシンナー等の有機溶剤は人体に有害だ。必ず換気をし、マスクを着用しよう。十分に換気できる場所なら一般的なマスクでも構わないが、可能であれば防毒マスクがおすすめだ。
それではクーラーを塗装していこう。
まずはクーラーを固定しよう。小さく切った段ボールに両面テープなどで貼る。手で持つ必要がなくなり、まとめて塗れる。時短となる上に、キレイに仕上がり一石二鳥だ。
塗料を吹き付ける前に缶スプレーをよく振って、中の塗料をかき混ぜよう。塗装する面との距離は30cm前後を保つ。缶スプレーは動かさずに吹き付けると、一か所に塗料が集中してしまう。段ボールをゆっくりと動かしながら全体にまんべんなく塗装するように心がけよう。
全体の色が少し変わってきた段階で一旦手を止めよう。一気に進めてしまうと、塗料が垂れて厚ぼったい仕上がりになってしまう。そのため、同じ色でも5回ほどに分けるとキレイに仕上がる。一回ごとに10分から20分程度の間をおいて、十分に乾燥してから作業を進めるとより効果的だ。
満足な塗り状態になったら、邪魔にならない場所で乾燥させておこう。このとき、触って塗料をはがさないように注意して移動しよう。乾燥させているうちに、塗料などの後片付けを済ませておくと効率的だ。
最後に、スミ入れで仕上げていこう。
実車を観察してみると、クーラーの側面と天面の一部は、換気のためにメッシュ状になっていると分かる。このメッシュ部分の影を入れるだけで、立体感が増すのだ。
今回はタミヤのスミ入れ塗料のブラックを使う。この塗料はスミ入れにちょうどいい濃度に調整されていて、蓋の下には筆もついている。そのため、これひとつでスミ入れ塗装ができる。
では、筆でクーラーのメッシュ部分を塗っていこう。クーラーから塗料がはみ出しても、後で修正できる。まずは、塗りきってみて乾燥させよう。
スミ入れした部分が乾燥したら、タミヤの「X-20」といったエナメル塗料の溶剤ではみ出した塗料を拭き取ろう。綿棒を使うとやりやすい。こすり過ぎるとスプレーで塗装した地の色にも影響してしまう。そのため強い力を加えずに、そっとスミだけを吸い取るようにしよう。
満足いく調整ができたら、塗料が完全に乾くまで一晩寝かせよう。改めて確認して問題がなければ塗装は完了だ。
最後に、パーツを車両に取り付けよう。分解する前に撮影した写真を参考に、逆の手順で元に戻す。写真だけでなく、模型の説明書や箱に載っている車両のイラストも手がかりにできるだろう。傷をつけないよう、力加減に注意しよう。
もしもう一つ同じ車両を持っているなら、塗装した車両と見比べてみよう。プラの成形色そのままから、少し塗装を施しただけで印象は大きく変わった。さらにメッシュ部分へのスミ入れで実車に近い立体感を出せている。このように小さなクーラーを塗装しただけで、実車の印象により近づいた。では次は他のパーツも塗装したらどうなるのだろう……とさらに欲も出てくることだろう。
塗装というと大変そうに感じてしまう。しかし、今回の記事のように一部分のパーツだけならそう難しくない。それによって車両の印象を変えられて、さらに愛着も増すはずだ。休みの日に少しずつ手を入れて、本当の意味で自分だけのコレクションにしてみよう。
鉄道車両への塗装は、ゲーム「A列車で行こう」でも楽しめる。「A列車で行こう はじまる観光計画」「A列車で行こう9 トレインコンストラクション」では、多彩な車両素体に、パーツの取り付けや塗装を施して自由に車両をつくれるのだ。走らせたい街に似合うオリジナル車両のデザインや、実存する車両の再現など、楽しみ方は無限大だ。
さらに鉄道模型で持っている車両をA列車で行こうで再現、反対にA列車で行こうでつくった鉄道車両を鉄道模型で再現してみても楽しいはずだ。相乗効果で鉄道趣味をより深めていこう。
A列車で行こう ひろがる観光ライン
Nintendo Switch / Windows (Steam)
A列車で行こう9 トレインコンストラクション
Windows (Steam)
掲載日:2025年7月11日
提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/)