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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「お出かけ、しなの鉄道」
目次
しなの鉄道はその名の通り、信濃国――長野県に2路線を持つ、第三セクター鉄道です。
2路線のうち「しなの鉄道しなの鉄道線」は、群馬県に近い軽井沢駅と、長野市内にある篠ノ井駅のあいだ65.1kmを、真田氏の拠点だった城下町の上田駅などを経由して結びます。
もうひとつの「しなの鉄道北しなの線」は、長野駅から北へ走る37.3kmの路線で、県境をわずかに超えて新潟県へ入ったところの妙高高原駅が終点です。
この2路線のあいだ、篠ノ井~長野間の9.3kmはJR東日本の信越本線が結んでおり、しなの鉄道の路線は飛び石のようになっています。
とはいえ、しなの鉄道の列車はJR信越本線へ直通運転を行っており、実質的には「軽井沢~篠ノ井~長野~妙高高原間がしなの鉄道」と考えてもよいでしょう。
しなの鉄道の路線は少々ややこしいですが、元々はすべて同じ、ひとつの路線でした。
1997年(平成9年)10月1日、北陸新幹線の高崎~長野間で開業。これにより、並行在来線であるJR信越本線の軽井沢~篠ノ井間が、第三セクター鉄道へ移管されました。
「しなの鉄道しなの鉄道線」の始まりです。
そして2015年(平成27年)3月14日、北陸新幹線の長野~金沢間が開業。これにより、並行在来線であるJR信越本線の長野~妙高高原間が、しなの鉄道へ移管されました。
「しなの鉄道北しなの線」の始まりです。
こうして現在の、「軽井沢~(しなの鉄道しなの鉄道線)~篠ノ井~(JR信越本線)~長野~(しなの鉄道北しなの線)~妙高高原」という、少々ややこしい形が生まれました。
篠ノ井~長野間は、9kmほどの距離です。「だったら全部しなの鉄道にしちゃったほうが……」と思うかもしれません。
そうした動きも、実際にありました。
しかし、篠ノ井~長野間はJR東海から特急「しなの」が直通してくるなど、いろいろと調整が必要なこと、同区間の運営は逆にしなの鉄道の負担になることが予想されたため、現在の形に落ち着いています。
しなの鉄道でぜひ楽しみたいのは、「山」の車窓です。
軽井沢駅から、しなの鉄道の列車に乗って長野駅方面へ向かうと、進行方向右側に、そのほかとは存在感のケタが違う山の姿が見えます。標高2568メートルの浅間山です。
噴火で幾度となく災害をもたらした猛々しい火山ですが、つるんとしたその山頂は、特に雪をかぶった時期、とても優美に感じます。
北しなの線の黒姫駅付近では、妙高高原駅に向かっておもに左側へ、「信濃富士」を楽しむことができます。標高2053mの黒姫山です。
しなの鉄道の車窓――特に北しなの線の車窓は山が近いのですが、その中でも黒姫山は「富士」とあだ名されるだけある整った形をしており、印象に残ることでしょう。
ちなみに、黒姫駅がある長野県信濃町は、江戸時代に活躍した俳人、小林一茶の出身地。「一茶記念館」があり、駅から歩いて行くことが可能です。
北しなの線では、終点の妙高高原駅付近でも、同駅へ向かって左側に、標高2454mの妙高山が威容を放っています。
つるんとした浅間山、「富士」の黒姫山とはまた異なり、ゴツゴツと鋭利さも感じさせる妙高山の姿。冬の晴れた朝に見たときは、そのゴツゴツが朝日と積雪によって強いコントラストを生み出しており、思わず息をのみました。
この妙高山は新潟県にそびえる山ですが、黒姫山、斑尾山、戸隠山、飯縄山とあわせて「北信五岳」に数えられています。
しなの鉄道の北しなの線には、小さい子供連れがよく来る駅があります。
その名も「三才(さんさい)駅」。三歳になった記念にと、やって来るわけです。
三才駅には記念撮影用の看板、制帽などが用意されているほか、三才駅のキャラクター「サイまる」が歓迎してくれる日もあります。
私も息子が三歳になったときに訪問しましたが、充実した記念撮影設備にくわえ、待合室には子供向けの本も備えられていて、あっという間に乗る列車の出発時刻になりました。
三才駅は長野市内にあり、長野駅から2駅と行きやすいのもポイント。
ちなみに「三才」という駅名は、その駅がある長野市の大字「三才」に由来するものですが、そもそもなぜそこが「三才」なのかは諸説あり、明確ではないようです。
しなの鉄道の三才駅と、隣の豊野駅周辺は、「長野らしい車窓」が楽しめる場所でもあります。
周囲にりんご畑が広がっており、4月下旬ごろはその白い花で、秋はその実りで、列車を迎えてくれるのです。
豊野駅から直線距離で700mほど離れた場所を通る国道18号線は、りんご狩りができる観光農園や直売所が周りに多いことから「アップルライン」と呼ばれています。
私が家族で三才駅に行ったとき、しなの鉄道で豊野駅まで移動して、りんご狩りも観光農園で楽しみました。
ハシゴに登っての収穫になるので、私が収穫担当、妻が皮むき&カット担当、息子が「あの上のが美味しそうだから取って!」といった指示出し&食べる担当、という具合で。
豊野駅周辺には、湯船にそれが浮いた「りんご風呂」を楽しめる「豊野温泉 りんごの湯」もあります。
先述の通り、元々はJR東日本の信越本線だったしなの鉄道の路線。北陸新幹線が開業するまでは「特急街道」でした。
当時の信越本線は日中、上り列車と下り列車あわせて1時間に4本程度、上野駅発着の特急「あさま」「白山」が走行。
上野~金沢間の「能登」、上野~長野間の「妙高」といった夜行急行も運転された信越本線は、首都圏と長野、北陸方面を結ぶ大動脈になっていました。
しなの鉄道の軽井沢~篠ノ井間は全線複線で、そうした往時の大動脈ぶりを感じることができます。
さて、その「大動脈」という役割は北陸新幹線に引き継がれ、当時の特急形電車はすべて現役を退いていますが、しなの鉄道ではいまなお、そのとき普通列車として走っていた元JR(国鉄)115系電車が現役です。
しなの鉄道は2024年1月15日、「プロジェクト115」を始動。貴重な115系電車を楽しめるよう、車体を国鉄時代と同じ湘南色、横須賀色などに塗装し、一般の営業列車やイベントなどに活用しています。
ただこの「プロジェクト115」は、「115系が完全引退するまでの4年間」で行うとのこと。つまり2028年ごろには、115系、見納めになるわけです。
早めのしなの鉄道訪問をオススメします。
そんな元国鉄115系電車の中には、しなの鉄道になって大変身したものもあります。観光列車「ろくもん」です。
名前の由来は、真田氏の家紋である「六文銭」。赤い外観は、武具などを赤で揃えた真田信繁(幸村)の「赤備え」がイメージされています。
「ろくもん」はJR九州の車両デザインなどで知られる水戸岡鋭治氏(ドーンデザイン研究所)が手がけた観光列車で、木のぬくもりに包まれた車内などが特徴。流れる車窓と一緒に、信州の味覚、ワインなどを楽しむことができます。
この「ろくもん」は、手軽に楽しめるのが特徴。食事付きのプランにくわえ、指定席券の追加で利用できるプランもあり、それぞれの楽しみ方が可能です。木のプールがあるので、三歳の子供と一緒に乗るのもオススメです。
「ろくもん」では、「日本三大車窓」を楽しむコースもあります。
JR東日本の篠ノ井線に直通し、姨捨駅付近から、「日本三大車窓」に数えられる善光寺平の夜景を眺めることが可能。あえて詳しくは語りませんが、「地上の星」に感動できると思います。
Windows、Nintendo Switch「A列車で行こう ひろがる観光ライン」には、この115系の観光列車「ろくもん」を収録。立派な山を車窓から楽しめそうなところを走らせると、雰囲気満点ですね。
A列車で行こう ひろがる観光ライン
Nintendo Switch / Windows (Steam)
ちなみに「ろくもん」が発着する軽井沢駅の駅舎も、レトロな建物に水戸岡氏が手を加えて改装したもの。リゾート地から始まる特別な旅の瞬間を、より楽しく演出してくれます。
古い電車の話ばかりしてきましたが、しなの鉄道は新型電車にも注目です。
有料座席指定制の快速に使用されるSR1系電車は、ほとんどの座席に電源コンセント、ドリンクホルダーが設置され、無料Wi-Fiも提供。
このSR1系電車を使って運行される快速「軽井沢リゾート号」では、沿線ゆかりの軽食を車内で楽しめるプランがあるのも魅力です。
「大動脈」の役割を失ったとはいえ、並行在来線も引き続き、各地からの訪問者に楽しんでもらおうと、力を入れています。
新幹線の旅は早くて快適ですが、しなの鉄道のような並行在来線の旅も、また別の魅力があることは間違いないでしょう。
掲載日:2025年6月27日
提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/)