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A列車で行こう ポータルサイト > 特別企画 > A列車jp発「お出かけ、京成電鉄」
京成電鉄の知名度は結構、高いかもしれません。
東京方面と成田空港を結ぶ特急「スカイライナー」を運行しており、そのPRも活発です。
京成電鉄は、1978年(昭和53年)5月の新東京国際空港(現・成田国際空港)開港にあわせて、空港アクセス特急「スカイライナー」の運行を開始しました。
2010年(平成22年)7月には、走行経路を成田スカイアクセス線に変更し、在来線で最速となる160km/h運転をスタート。日暮里駅と空港第2ビル駅を最速36分で結ぶほか、20分間隔という有料特急としては特筆すべき高頻度運行も特徴です。
「A列車で行こう9」「A列車で行こうExp.+」には、この在来線最速のAE形「スカイライナー」と、先代のAE100形「スカイライナー」を収録。実物と同じように、拠点間を高速ピストン輸送させてみたいですね(このほか、一般車両の3000系電車も収録しています)。
さて、そんな「スカイライナー」「成田空港」以外の京成電鉄とその沿線について、皆さんはどんなイメージを持っているでしょうか。
京成電鉄は、東京都東部と、おおよそチーバくんの「顔」にあたる千葉県北西部に、8線区178.8kmの路線網を持つ「大手私鉄16社」のひとつ。「東京都東部・千葉県北西部の日常生活路線」という性格も持っています。
2025年(令和7年)4月1日に京成電鉄は、松戸~京成津田沼間を結んでいたグループ会社の新京成電鉄を吸収合併。その性格をより強めました。
とはいえ「日常生活路線」と言われても、よそ者にはピンときづらいでしょう。
しかし京成電鉄は、そんな「日常生活路線」のなかに見どころがちょくちょくあります。
2月、節分の日。夜のニュースでは、NHK大河ドラマの出演者や力士がお寺で豆まきをする映像が、風物詩として流れることがあります。
京成電鉄は、このお寺――成田山新勝寺への参拝客輸送をおもな目的として、1909年に誕生しました。東「京」と「成」田を結ぶので京成電鉄、というわけです。
現在の京成電鉄は、同じ「成田」でも空港への輸送がメインになっていますが、成田山新勝寺への観光に便利なことは、今も昔も変わりません。
京成成田駅から成田山新勝寺へは歩いて15分から20分ほどかかりますが、駅からすぐの表参道には名物の「うなぎ」や甘味などを味わえる店舗が並んでおり、食べ歩きを楽しめるちょうどいい散策道です。
それら店舗などで特典が受けられる優待と、京成成田駅までの割り引き往復きっぷがセットになったお得な「成田開運きっぷ」も、京成線の各駅で発売されています。
ちなみに「スカイライナー」からも、成田山新勝寺を眺めることが可能。成田空港駅に向かって右側の車窓です。
朝や晩に京成線を利用していると、しばしば「宗吾参道行き」の列車を見かけます。
Googleで「宗吾参道」を検索しようとすると、「宗吾参道 どこ」というキーワードがサジェストされるので、どこにあるのか知っている人は少なそうです。
なにやらスピリチュアルな字面なので、余計に「どこ?」と気になる人が多いのかもしれません。
宗吾参道駅は、京成成田駅から東京方面へ2駅、千葉県酒々井町にある駅です。
この宗吾参道駅付近には、京成電鉄の宗吾車両基地が存在。そのため、宗吾参道駅止まりの列車がしばしば運転されています。
宗吾車両基地には、歴代の特急「スカイライナー」車両などが保存、展示されており、イベント時などに見学が可能です。
さて、そのスピリチュアルな駅名についてですが、そこには知っていると「千葉」や「成田山新勝寺」がもっと楽しくなる歴史が隠れています。
江戸時代初期、下総国佐倉藩に「佐倉惣五郎」という人物がおり、凶作と重税から農民たちを救うため、将軍に直訴を断行。これにより重税が見直されるものの、タブーであった直訴の代償として、惣五郎は処刑されました。
この佐倉惣五郎の霊を祀るお寺「宗吾霊堂」の参道付近にあることが、宗吾参道駅の名の由来です。
駅から宗吾霊堂までは、徒歩で15分ほど。成田山新勝寺は賑やかですが、宗吾霊堂は落ち着いた雰囲気で、それぞれの良さを味わえるでしょう。
ちなみに宗吾霊堂は、正式には「鳴鐘山東勝寺」といい、成田山新勝寺は「東勝寺より新しい寺」という意味でその名になった、とされています。
参道が楽しい京成電鉄の駅は、東京都内にもあります。金町線の柴又駅(東京都葛飾区)です。
駅付近から柴又帝釈天の参道が延びており、名物の「草団子」「煎餅」「川魚料理」などを味わいながら、参拝を楽しむことができます。定期的に開催されている縁日の日を選べば、より賑やかでしょう。
柴又帝釈天から数分歩けば、船旅も楽しめます。江戸川の渡し船「矢切の渡し」が、いまなお運航されているのです(運休日あり)。
地元の生活で必要なことから生まれた渡し船なので、風光明媚だとか、迫力があるだとか、そういう楽しさは乏しいですが、昔の生活に思いをはせたり、ゆっくりした動き、リズムに身を委ねたり、これはこれの楽しみ方、面白さがあるでしょう。
また京成電鉄の柴又駅は、ホーム間の移動に構内踏切を渡るという、ローカル線のような構造。この駅とその周辺には、東京の賑やかさと、どこか気楽な昔ながらの下町らしい雰囲気が満ちています。
東京都内の京成電鉄沿線は全体的に下町なので、ぶらり途中下車しての商店街散策、食べ歩きも楽しいでしょう。堀切菖蒲園、向島百花園といった名所も存在しており、手軽な小旅行にオススメの地域です。
下町らしさがあふれるこのエリアが乗り降り自由で、優待特典もある「下町日和きっぷ」も、京成電鉄から発売されています。
ここまでいろいろ書いていながら何ですが、正直、京成電鉄の沿線はシブい名所が多いかもしれません。
ただそれだけに、ちょっとしたウンチクになりそうな場所が多いとも思います。
京成電鉄谷津駅から徒歩7分程度の「習志野市 谷津バラ園」も、そのひとつでしょう。
元々は、京成電鉄が運営する遊園地「谷津遊園」の中にあるバラ園でしたが、1982年(昭和57年)に遊園地が閉園。そのバラ園を習志野市が引き継いだ形の施設です。
ここには、「読売巨人軍発祥の地」記念碑があります。
1934年(昭和9年)、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリックをはじめとする野球のアメリカ選抜チームが来日。これに対し、東京六大学の選手を中心にした全日本チームが結成され、谷津の球場で練習をしました。
この全日本チームを母体にして東京読売巨人軍(現・読売ジャイアンツ)が生まれたことから、「発祥の地」の記念碑があるのです。
また京成電鉄は、谷津遊園のバラ園に関連して京成バラ園芸株式会社を設立し、バラの研究、販売、造園事業などを展開しているほか、千葉県八千代市で「京成バラ園」を運営。
例年、バラが見ごろを迎える時期には、京成電鉄沿線から「京成バラ園」までのアクセス、入園券などをセットにしたお得なきっぷ「京成ローズきっぷ」も発売されます。
「スカイライナー」と「成田空港」が目立ち、その強い光によって隠れがちかもしれませんが、京成電鉄とその沿線には、月のように趣深く光る名所が結構、あるのではないでしょうか。
ちなみに京成グループには、ややもすると「スカイライナー」「成田空港」より強い光があります。「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランドです。
京成電鉄を中心とする京成グループの企業のひとつで、1983年(昭和63年)の「東京ディズニーランド」オープンにあたっては、1982年(昭和62年)に閉園した京成電鉄の遊園地「谷津遊園」からスタッフが多く移籍したといいます。
また、京成グループには京成電鉄以外にも鉄道会社があり、北総鉄道、小湊鐵道、関東鉄道などが名を連ねるほか、「東京ディズニーリゾート」を周回するモノレール「舞浜リゾートライン」もそのひとつです。
舞浜リゾートラインの車両は、大規模な定期検査を受ける場合、舞浜から離れた京成電鉄の宗吾車両基地へ陸送され、そこでメンテナンスされています。
掲載日:2025年5月23日
提供:A列車で行こうポータルサイト「A列車jp」(https://www.atrain.jp/)